両側後骨間神経麻痺の一例

「はじめに」神経幹の砂時計様くびれによる後骨間神経麻痺の報告1)2)4)6)7)8)が散見される. 今回, くびれによる両側後骨間神経麻痺の一例を経験したので報告する. 症例 18歳, 女性, ホテルのメイド. 主訴:両側手指の伸展不能 <左後骨間神経麻痺の発症> 1日4時間, 左前腕回外, 肘屈曲位でマットを持ち上げ, 右手でシーツを敷き込むベッドメイキングの仕事を始めて3カ月後の平成8年7月, 仕事中に左肘外側部に疼痛を自覚し, 5日後手指の伸展不能に気付いた. 知覚障害はなく近医にて後骨間神経麻痺の診断で保存的に加療され, 10日後痛みは消失したが発症後2カ月経過しても手指の...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 1; pp. 257 - 260
Main Authors 我謝猛次, 金谷文則, 普天間朝上, 豊原一作, 安里英樹, 渡慶次学, 茨木邦夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1998
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ISSN0037-1033

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Summary:「はじめに」神経幹の砂時計様くびれによる後骨間神経麻痺の報告1)2)4)6)7)8)が散見される. 今回, くびれによる両側後骨間神経麻痺の一例を経験したので報告する. 症例 18歳, 女性, ホテルのメイド. 主訴:両側手指の伸展不能 <左後骨間神経麻痺の発症> 1日4時間, 左前腕回外, 肘屈曲位でマットを持ち上げ, 右手でシーツを敷き込むベッドメイキングの仕事を始めて3カ月後の平成8年7月, 仕事中に左肘外側部に疼痛を自覚し, 5日後手指の伸展不能に気付いた. 知覚障害はなく近医にて後骨間神経麻痺の診断で保存的に加療され, 10日後痛みは消失したが発症後2カ月経過しても手指の伸展不能が残存したため, 同年9月25日当科を初診した. 入院時所見:左手関節の伸展は可能だが橈屈を伴い, 手指の伸展は不能であった(図1). Frohseのarcade周辺に圧痛を認めた. 短橈側手根伸筋の筋力は徒手筋カテスト(以下MMT)でgrade 4, 回外筋, 尺側手根伸筋, 手指及び母指伸筋はMMT0~1と低下していた. 知覚障害は認めなかった. 筋電図所見:回外筋, 総指伸筋, 長母指伸筋は安静時にfibrillation potentialを認め, 随意収縮時に低振幅のまばらなmotor unit potentialのみが出現し, 干渉波を認めなかった.
ISSN:0037-1033