周術期におけるモニター心電図変化

「緒言」近年, 急速な高齢化社会の到来に伴って全身疾患を持つ患者が増加傾向にあるが, その中でも循環器疾患は過半数を占めている. そのため周術期にはしばしば不整脈が認められ, 特に高齢者では出現頻度が高くなる1, 2, 3). 特に術中術後には手術侵襲に伴って生体の恒常性が崩れ,不整脈が出現しやすくなる. Bertrandら4)の報告では全身麻酔症例の84%に不整脈を認め, 特に気管挿管および抜管時に高率に認められ, さらに心疾患を合併している症例では90%の高率に及んだとしている. 麻酔中の不整脈を招く因子としては, 心機能低下, 心筋虚血, 低酸素症, 高炭酸血症, 電解質異常, 浅麻酔な...

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Published in神奈川歯学 Vol. 46; no. 1; pp. 94 - 101
Main Authors 買原玲子, 有坂博史, 買原一郎, 桜庭茂樹, 古屋宗孝, 吉田和市
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.06.2011
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」近年, 急速な高齢化社会の到来に伴って全身疾患を持つ患者が増加傾向にあるが, その中でも循環器疾患は過半数を占めている. そのため周術期にはしばしば不整脈が認められ, 特に高齢者では出現頻度が高くなる1, 2, 3). 特に術中術後には手術侵襲に伴って生体の恒常性が崩れ,不整脈が出現しやすくなる. Bertrandら4)の報告では全身麻酔症例の84%に不整脈を認め, 特に気管挿管および抜管時に高率に認められ, さらに心疾患を合併している症例では90%の高率に及んだとしている. 麻酔中の不整脈を招く因子としては, 心機能低下, 心筋虚血, 低酸素症, 高炭酸血症, 電解質異常, 浅麻酔など多岐にわたり, それらが心臓に対し種々の影響を与え, 多くの場合その影響は心電図変化として現れる. 中には重篤なものも見られ, その異常は即生命の危機に通じることもある. 術前に不整脈が認められた場合には心筋虚血や心不全など基礎疾患の評価を十分行い, 必要であれば薬物治療, ペースメーカーや除細動の埋め込みなどを行う必要がある.
ISSN:0454-8302