同種PBSCTにおけるドナーの安全性について

当血液センターは, 1996年1月より同年5月の間に同種PBSCT3症例に協力する機会を得たので, 健常人ドナーよりの末梢血幹細胞採取について安全性を中心に検討し報告する. 【対象】ドナー1:25歳男性, 急性骨髄性白血病(AML, M2)第1寛解後の再発例の兄. ドナー2:46歳男性, 慢性骨髄性白血病(CML)慢性期例の兄. ドナー3:50歳男性, 慢性骨髄性白血病(CML)慢性期例の兄. いずれもHLAは患者と一致しており, 身体所見, 血液・生化学検査に特記すべき異常を認めない. 【結果】ドナーにG-CSF600μg/日を5日間投与し, 末梢血幹細胞を動員した. G-CSF投与により,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 257
Main Authors 山口弓子, 河石久仁子, 原田博道, 中田一正, 中川文雄, 宗像寿子, 兵頭英出夫, 小田健司, 阿部和弘, 木村昭郎, 高田昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:当血液センターは, 1996年1月より同年5月の間に同種PBSCT3症例に協力する機会を得たので, 健常人ドナーよりの末梢血幹細胞採取について安全性を中心に検討し報告する. 【対象】ドナー1:25歳男性, 急性骨髄性白血病(AML, M2)第1寛解後の再発例の兄. ドナー2:46歳男性, 慢性骨髄性白血病(CML)慢性期例の兄. ドナー3:50歳男性, 慢性骨髄性白血病(CML)慢性期例の兄. いずれもHLAは患者と一致しており, 身体所見, 血液・生化学検査に特記すべき異常を認めない. 【結果】ドナーにG-CSF600μg/日を5日間投与し, 末梢血幹細胞を動員した. G-CSF投与により, 3例ともLDH, ALPが上昇し, 血小板数は減少した. ドナー2, 3は37℃台の発熱と軽度の腰痛, 全身倦怠感を認めた. 末梢血幹細胞の採取はSpectra(Cobe)を用い, ドナー1は3回, ドナー2, 3は2回採取した. 処理血液総量はドナー1, 2, 3の順に29.3, 22, 221body, 採取MNC総数は5.97, 8.31, 7.2×10^10 /body, 採取CD34陽性細胞総数は0.7, 8.16, 2.92×10^8 /bodyであった. ドナー1, 3は採取時に口唇・手指のしびれを訴えた. 採取後5ヵ月~9ヵ月で何れのドナーにも特記すべき自覚症状を認めない. ドナー1, 2の採取細胞は移植され, 両症例とも生着を確認し, 移植後各々8ヵ月及び5ヵ月の時点では無病生存中である. 【考察】同種PBSCTを目的として健常人ドナーにG-CSFを投与し, 重篤な副作用なく末梢血幹細胞の動員, 採取が行われつつある. 今後, 採取に当ってのドナーヶアの充実とG-CSF投与や末梢血幹細胞採取がドナーに及ぼす影響を長期的に観察することが必要と考える.
ISSN:0546-1448