カルボキシレートセメントの合着力について

1968年, D.C.Smithによっ開発されたカルボキシートセメントは, 歯質に対して化学的に接着する材料として注目され, その臨床使用においても, 歯髄剰激性が少なく, 適切な強度と接着性が認められたと報告され, 広範囲にわたる使用の可能性が示唆されている. 以来, その諸性質, あるいは操作性などに関して数多くの研究が行われ, とくに本材料の最大の特色と云われる接着性については, Mizrahi & Smith, Grieve, Mortimer & Tranter, Richterら, Klotzer & Tronstad, Phillipsら, 住井, 井田ら...

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Published in神奈川歯学 Vol. 8; no. 4; pp. 228 - 233
Main Authors 安達憲治, 二俣繁治, 篠原瑞男, 吉本壮平, 岩本次男, 山中彬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.03.1974
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ISSN0454-8302

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Summary:1968年, D.C.Smithによっ開発されたカルボキシートセメントは, 歯質に対して化学的に接着する材料として注目され, その臨床使用においても, 歯髄剰激性が少なく, 適切な強度と接着性が認められたと報告され, 広範囲にわたる使用の可能性が示唆されている. 以来, その諸性質, あるいは操作性などに関して数多くの研究が行われ, とくに本材料の最大の特色と云われる接着性については, Mizrahi & Smith, Grieve, Mortimer & Tranter, Richterら, Klotzer & Tronstad, Phillipsら, 住井, 井田ら, 総山ら, による報告がある. これらの文献を通覧すると, 二つの被接着面を突合わせて接着し, 接着面に垂直な方向にこれらを引き離すところの, いわゆる表面接着力については, カルボキレートセメントは, 在来の各種セメントに比較して優れた接着性を示しているが, インレーやクラウンの保持力に関しては, 従来, 最も優れた合着材として使用されて来たリン酸亜鉛セメントのそれとほぼ同程度, あるいはわづかに勝る成績を示しているにすぎない.
ISSN:0454-8302