術前未確診の肺抗酸菌症・肺切除例の術前診断の検討

「要旨」 : 〔目的〕術前気管支鏡検査施行も未確診の肺切除症例では, 術中・術後に肺結核・肺非結核性抗酸菌症と判明する症例がある. 手術室・病理検査室で感染対策上問題になる. 術前検査のうち予測因子になりうるものがあるか検討した. 〔方法〕2010年1月から2018年12月の期間の肺抗酸菌症肺切除例, 気管支鏡施行も未確診であった肺癌切除症例を対象とした. (A) 術前に肺抗酸菌症と診断のついた群, (B) 術前気管支鏡施行も未確診で術後肺抗酸菌症であった群, (C) 術前気管支鏡施行も未確診で術後肺癌であった群, の3群に分け, 術前検査項目を比較した. 〔結果〕 (B) と (C) の両群...

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Published in結核 Vol. 95; no. 2; pp. 55 - 60
Main Authors 杉浦八十生, 加藤良一, 河合治, 荒木規仁, 布施川久恵, 根本悦夫, 大久保泰之, 橋詰寿律
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.03.2020
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 〔目的〕術前気管支鏡検査施行も未確診の肺切除症例では, 術中・術後に肺結核・肺非結核性抗酸菌症と判明する症例がある. 手術室・病理検査室で感染対策上問題になる. 術前検査のうち予測因子になりうるものがあるか検討した. 〔方法〕2010年1月から2018年12月の期間の肺抗酸菌症肺切除例, 気管支鏡施行も未確診であった肺癌切除症例を対象とした. (A) 術前に肺抗酸菌症と診断のついた群, (B) 術前気管支鏡施行も未確診で術後肺抗酸菌症であった群, (C) 術前気管支鏡施行も未確診で術後肺癌であった群, の3群に分け, 術前検査項目を比較した. 〔結果〕 (B) と (C) の両群でInterferon-Gamma Release Assays (IGRA) の特異度は90.5%であった. (A) と (B) の両群で有意差があった項目は, 年齢, platelet lymphocyte ratio, neutrocyte lymphocyte ratioであった. 〔結論〕術前未確診病変に対してIGRAはTB陰性の予測因子となりうる. 術前検査から把握できる栄養状態, 炎症所見, 呼吸機能検査から, 肺癌と肺抗酸菌症を鑑別することは困難であった.
ISSN:0022-9776