松橋緒方現象を示した後天性溶血性貧血

直接および間接クームス試験陽性を示し赤血球よりの解離抗体に抗E, 抗cが認められたAB-PC(アンピシリン)によると思われる後天性溶血性貧血にて松橋緒方現象を伴った1症例を経験したので報告する. 症例. 25歳の女性. 主訴は黄疸. 家族歴は祖父は癌で死亡, 祖母に関節リウマチがある. 既往歴は14歳の時リウマチ熱に罹患, 被輸血歴はない. 現病歴は昭和47年頃より, リウマチ性僧帽弁閉鎖不全症による心不全症状の増悪を認め昭和51年5月, 心研内科に入院. 7月7日僧帽弁および三尖弁の形成術を施行, 術中2,200mlの輸血を行った. 術後AB-PC2~8g/日の静注投与を行っていたが, 第2...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 26; no. 1/3; pp. 205 - 207
Main Authors 山下婦美子, 高橋早苗, 広沢弘七郎, 宮崎保, 戸塚恭一, 倉根理一, 藤原ムチ, 村上省三, 大河内一雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1980
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Summary:直接および間接クームス試験陽性を示し赤血球よりの解離抗体に抗E, 抗cが認められたAB-PC(アンピシリン)によると思われる後天性溶血性貧血にて松橋緒方現象を伴った1症例を経験したので報告する. 症例. 25歳の女性. 主訴は黄疸. 家族歴は祖父は癌で死亡, 祖母に関節リウマチがある. 既往歴は14歳の時リウマチ熱に罹患, 被輸血歴はない. 現病歴は昭和47年頃より, リウマチ性僧帽弁閉鎖不全症による心不全症状の増悪を認め昭和51年5月, 心研内科に入院. 7月7日僧帽弁および三尖弁の形成術を施行, 術中2,200mlの輸血を行った. 術後AB-PC2~8g/日の静注投与を行っていたが, 第23手術病日になって突然皮疹が出現しAB-PCによる薬疹を疑い, その投与を中止し, 約10日間で薬疹は消失した. その後貧血, 黄疸なく経過していたが9月27日心カテーテル検査を施行し検査中感染防止の目的でAB-PC 1gが静注され翌日高熱と共に下腿に発疹が出現した.
ISSN:0546-1448