ロボットスーツHAL(R) を用いた歩行練習により, 下肢筋力および歩行能力が改善したCharcot-Marie-Tooth病の1例

「要旨」:症例はCharcot-Marie-Tooth病の53歳女性. 下肢筋力低下および足関節の背屈制限のため, 反跳膝を伴うトレンデレンブルグ歩行を呈していた. HAL(R)医療用下肢タイプ(HAL)を用いた歩行練習を週3回, 計9回実施したところ, 膝関節屈曲・伸展の最大トルクの増大, 2分間歩行テスト(2MWT)およびTimed Up and Goテスト(TUG)の改善を認めた. HAL装着時の歩行立脚期の膝角度を解析した結果, HAL装着により反張膝が改善した良好な歩容で歩行練習が行えていた. HAL使用に伴う過度の疲労や血清CK値の増加, その他の有害事象は認めなかった. 本症例で...

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Published in運動障害 Vol. 27; no. 2; pp. 29 - 34
Main Authors 古関一則, 河野豊, 吉川憲一, 吉川芙美子, 松下明, 中井啓, 冨田和秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本運動障害研究会 15.12.2017
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Summary:「要旨」:症例はCharcot-Marie-Tooth病の53歳女性. 下肢筋力低下および足関節の背屈制限のため, 反跳膝を伴うトレンデレンブルグ歩行を呈していた. HAL(R)医療用下肢タイプ(HAL)を用いた歩行練習を週3回, 計9回実施したところ, 膝関節屈曲・伸展の最大トルクの増大, 2分間歩行テスト(2MWT)およびTimed Up and Goテスト(TUG)の改善を認めた. HAL装着時の歩行立脚期の膝角度を解析した結果, HAL装着により反張膝が改善した良好な歩容で歩行練習が行えていた. HAL使用に伴う過度の疲労や血清CK値の増加, その他の有害事象は認めなかった. 本症例ではHALを用いることで, 過度な疲労や筋を過用することなく良い歩容で繰り返し歩行練習が可能となり, 下肢筋力や歩行能力の改善が得られた. CMTの歩行障害に対してHALを用いた歩行練習が効果的である可能性を示す症例と考えらえた.
ISSN:0917-5601