創傷被覆材を応用した歯肉増大法 - 長期経過症例
「はじめに」日常臨床の中で歯肉退縮や高位小帯付着位置異常を代表とする歯肉と歯槽粘膜の関係が問題となる症例は頻繁に観察される. 特に狭小化した角化歯肉や, さらに進行した角化歯肉の欠損に伴い, 引張りテスト等により歯周組織の可動性が認められる場合には歯周形成手術の適応となる. 角化歯肉の増大法については, 遊離歯肉移植術や結合組織移植術により達成されるが, 一般的には術式の困難性から高いハードルが存在している. このことから, 歯周形成手術の適応の必要性が認識されながらも実施されないことが多い. その根拠としては, (1)移植片の採取が必要となる, (2)その結果口腔内で創部が2か所となる, (...
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Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 56; no. 4; pp. 435 - 441 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯周病学会
28.12.2014
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ISSN | 0385-0110 |
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Summary: | 「はじめに」日常臨床の中で歯肉退縮や高位小帯付着位置異常を代表とする歯肉と歯槽粘膜の関係が問題となる症例は頻繁に観察される. 特に狭小化した角化歯肉や, さらに進行した角化歯肉の欠損に伴い, 引張りテスト等により歯周組織の可動性が認められる場合には歯周形成手術の適応となる. 角化歯肉の増大法については, 遊離歯肉移植術や結合組織移植術により達成されるが, 一般的には術式の困難性から高いハードルが存在している. このことから, 歯周形成手術の適応の必要性が認識されながらも実施されないことが多い. その根拠としては, (1)移植片の採取が必要となる, (2)その結果口腔内で創部が2か所となる, (3)部分層弁の形成や骨膜縫合をはじめとする特殊なテクニックが要求される, などの要因が考えられ, また患者の同意を得にくいことなどの背景も存在する. そこで, これまでのアテロコラーゲン系生体材料の研究開発をベースに, 創傷領域における再生目的に応じた細胞の取り込みのためのScaffoldsとしての観点から, 創傷被覆材を遊離歯肉移植片の代用とした角化歯肉の増大法について症例をとおして検討した. |
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ISSN: | 0385-0110 |