酸化ストレスの定量化における血中ビタミンC濃度測定の有用性

目的:抗酸化物質であるビタミンC(VitC)は, 酸化ストレスによる過酸化障害を抑制し内皮機能を改善する働きを有する. 心筋梗塞は酸化ストレスの内皮機能障害で発症し, 血中VitC濃度の低下は消費によると考えられる. しかし血中VitC濃度が, 酸化ストレスの強さを定量的に表すかは明らかでない. 本研究では運動療法施行中の心筋梗塞患者を対象に, 血中VitC濃度および摂取量と酸化ストレスマーカーの血中過酸化脂質濃度の関係を検討した. 方法:対象は運動療法施行中の心筋梗塞患者8例(全例男性, 61±10歳). VitC摂取量は, 食事内容を1週間記載し食品成分表を用い平均摂取量を算出. 血中Vi...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 6; p. 595
Main Authors 五十嵐亜希, 菅谷寿理, 山本雪貴美, 吉田由紀子, 加藤政利, 竹田裕子, 平野美子, 中村利枝, 斉藤公一, 本間博, 福間長知, 加藤和代, 加藤祐子, 牛島明子, 土田貴也, 愛須紀子, 馬渕浩輔, 高野照夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 15.12.2003
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:抗酸化物質であるビタミンC(VitC)は, 酸化ストレスによる過酸化障害を抑制し内皮機能を改善する働きを有する. 心筋梗塞は酸化ストレスの内皮機能障害で発症し, 血中VitC濃度の低下は消費によると考えられる. しかし血中VitC濃度が, 酸化ストレスの強さを定量的に表すかは明らかでない. 本研究では運動療法施行中の心筋梗塞患者を対象に, 血中VitC濃度および摂取量と酸化ストレスマーカーの血中過酸化脂質濃度の関係を検討した. 方法:対象は運動療法施行中の心筋梗塞患者8例(全例男性, 61±10歳). VitC摂取量は, 食事内容を1週間記載し食品成分表を用い平均摂取量を算出. 血中VitC濃度と過酸化脂質濃度は, 運動療法開始前と終了時(発症後3ヵ月)の2回測定. VitC消費量の指標として, VitC摂取量と細胞外液中VitC量の比(Intake C/Total C)を算出. 在宅運動は万歩計で評価. 結果:1)血中VitC濃度と摂取量の関係は心筋梗塞急性期で有意な相関はなく, 運動療法終了時で正相関を示した. 2)Intake C/Total Cと血中過酸化脂質濃度は, 開始前と終了時で正相関を示した. 3)過酸化脂質濃度は平均歩数と弱い相関を示した. 考察:心筋梗塞急性期では血中VitC濃度が消費のため低値であったが, 運動療法終了時では血中VitC濃度は増加しており酸化ストレスの減弱が示された. また, Intake C/Total Cと過酸化脂質濃度の正相関関係より, 血中VitC濃度及び摂取量の評価による酸化ストレスの定量化が可能だと考えられた.
ISSN:1345-4676