生後12日の左心低形成症候群に対してカテーテル治療と外科手術を続けて行った1症例
【目的】左心低形成症候群に対する初期外科的治療とカテーテル治療を連続して施行した症例について報告する. 【症例】生後12日の女児, 診断名は左心低形成症候群. 治療方針は, 新生児期のNorwood手術は侵襲が大きく術後管理も困難のため, 両側肺動脈絞扼術と動脈管ステント留置術を同じ手術室で連続して施行した. 今後Norwood+両方向性Glenn手術を予定する. 【経過】10時, 手術室入室時より患者吸気に窒素ガスを混合させ(初期設定:圧縮空気4.0L,窒素ガス1.5L), 吸入酸素濃度を目標とする17%まで低下させた. その後, 両側肺動脈絞扼術を施行し, 絞扼前の収縮期動脈圧40mmHg...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 35; no. 2; p. 182 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.06.2008
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 【目的】左心低形成症候群に対する初期外科的治療とカテーテル治療を連続して施行した症例について報告する. 【症例】生後12日の女児, 診断名は左心低形成症候群. 治療方針は, 新生児期のNorwood手術は侵襲が大きく術後管理も困難のため, 両側肺動脈絞扼術と動脈管ステント留置術を同じ手術室で連続して施行した. 今後Norwood+両方向性Glenn手術を予定する. 【経過】10時, 手術室入室時より患者吸気に窒素ガスを混合させ(初期設定:圧縮空気4.0L,窒素ガス1.5L), 吸入酸素濃度を目標とする17%まで低下させた. その後, 両側肺動脈絞扼術を施行し, 絞扼前の収縮期動脈圧40mmHgが, 絞扼後は約50mmHgと血圧の上昇を認め, 絞扼後は大気酸素濃度での換気に切り替えた. その後, ヘパリンを投与し(ACT240秒), 動脈管ステント用のシースを挿入し, 透視下にステント留置術を施行した. 14時50分退室. 術中は, 心拍数, 血圧, 動脈血酸素飽和度, 混合静脈血酸素飽和度に加え, 吸気ガス酸素濃度をモニタリングした. 臨床工学技士は, 麻酔器, 窒素ガス, モニターの準備・管理を行った. 術後経過は良好である. 【考察および結語】患者を移動せず連続的に2つの治療を円滑に施行できたのは, 血管造影設備を有する手術室を使用できたことが大きかった. 術中の全身管理は, 心臓短絡性疾患症例であったため, 体血流量維持(増量)目的に, 麻酔回路患者吸気側に窒素ガスを混合させ, 吸気酸素濃度を大気酸素濃度より低下させる必要があり, 吸入酸素濃度の管理が重要であった. 実際には, 即応性のある吸気ガスモニタを観察し, 圧縮空気と窒素ガスの比率を微調節することで良好に管理し得た. 今後は, 臨床工学技士の役割として, 緊急時の人工心肺使用も考慮した環境整備, より効率よく安全に施行するための機器の配置や各スタッフとの連携なども検討したい. |
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ISSN: | 0912-2664 |