くり返し検診によって発見された乳癌症例
<目的>平成12年3月に老健第65号でマンモグラフィ併用検診が厚生省より勧奨された. それにより視触診のみの検診から併用検診へと移行する市町村が徐々に増えている. 当院でも, 近隣の市町村を中心に平成6年より三者併用(視触診+超音波+マンモグラフィ)検診を行なっているが受診者は平成12年度より増加している. また, 今日では三者併用検診(二者併用検診)が定着し始めている. 今回, 当院においての検診成績を提示すると共に, 検診受診初年度ではなく, 繰り返し受診により発見された乳癌症例について検討したので報告する. <対象>平成12年4月から平成16年3月. その間, 隔...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; p. 564 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本農村医学会
01.09.2005
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ISSN | 0468-2513 |
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Summary: | <目的>平成12年3月に老健第65号でマンモグラフィ併用検診が厚生省より勧奨された. それにより視触診のみの検診から併用検診へと移行する市町村が徐々に増えている. 当院でも, 近隣の市町村を中心に平成6年より三者併用(視触診+超音波+マンモグラフィ)検診を行なっているが受診者は平成12年度より増加している. また, 今日では三者併用検診(二者併用検診)が定着し始めている. 今回, 当院においての検診成績を提示すると共に, 検診受診初年度ではなく, 繰り返し受診により発見された乳癌症例について検討したので報告する. <対象>平成12年4月から平成16年3月. その間, 隔年又は通年検診を受診し, 検診で指摘され当院において癌と診断された10症例. <方法>癌症例において三者の所見, 病理型について検討した. <考察>今年度よりマンモグラフィ併用検診対象者が40歳代まで引き下げられたが, 当院の癌発見年齢も40歳代が多い. また, それらの乳腺評価は不均一高濃度であった. 発見乳癌をモダリティー別に見ると, やはりマンモグラフィ単独発見乳癌は多いが, 超音波のみで発見された乳癌も29例中2例を占めた. 超音波においては, 術者の経験等が問題であり, まだまだ検討の余地はあるものの, 三者併用検診の有用性が示唆された. また, 要精検率が低いのも三者併用検診の利点である. くり返し検診で発見された乳癌においては, 全ての症例T1N0, Stage 1と初期乳癌であった. 前年度は, すべての症例において異常なしという結果であったが, 再度マンモグラムを見直してみると, 指摘できたのではないかと思われるものもある. この原因として, ポジショニング不良や, 管理不良のフィルム, 読影技術, 超音波に関しては術者の技術力等が考えられる. 今回経過を追ったマンモグラムを見たことで, 乳腺は各個人の経時的変化を見ることが大変重要であると分かった. マンモグラム上経時的変化を追う為には, 精度の保たれた現像フィルムと, 安定し統一されたポジショニングが必要であり, それは読影を左右する. また, CR画像においては, 検討の余地がかなりあるパラメーターも原因の一つではないかと考えられ, デジタルマンモの難しさも感じられた. <結語>早期乳癌を発見するにはくりかえし検診は重要である. 発見率を上昇させる為に経時的変化の追える最良のマンモグラムを提供し, 超音波技術を向上させ, 地域の早期乳癌発見に努めていきたい. |
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ISSN: | 0468-2513 |