結核患者の服薬指導に用いられる治療継続阻害リスク要因に関する統計学的検討
要旨:〔目的〕これまで提唱されていた総数24個の結核患者の服薬継続を阻害すると考えられるリスク要因について, それらに含まれる患者の治療継続関連因子を統計的に抽出し, 服薬継続に対するリスクとの関連を検討する. 〔方法〕2013年1月1日~2014年12月31日にF病院で結核治療を開始した外来・入院患者を対象に, DOTS個人カード兼退院連絡票から得られた基本情報を基に, それらの相互の関連について統計学的分析(因子分析)を行った. 〔結果と考察〕肺結核患者は634人, 肺外結核患者は98人, 計732人について分析した. 総数24個の「リスク要因」の関連の大半は5個のお互いに無相関な「因子」...
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Published in | 結核 Vol. 97; no. 3; pp. 147 - 154 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.05.2022
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 要旨:〔目的〕これまで提唱されていた総数24個の結核患者の服薬継続を阻害すると考えられるリスク要因について, それらに含まれる患者の治療継続関連因子を統計的に抽出し, 服薬継続に対するリスクとの関連を検討する. 〔方法〕2013年1月1日~2014年12月31日にF病院で結核治療を開始した外来・入院患者を対象に, DOTS個人カード兼退院連絡票から得られた基本情報を基に, それらの相互の関連について統計学的分析(因子分析)を行った. 〔結果と考察〕肺結核患者は634人, 肺外結核患者は98人, 計732人について分析した. 総数24個の「リスク要因」の関連の大半は5個のお互いに無相関な「因子」で説明されることが知られた. これらの因子は, それぞれに強く反映するもとのリスク要因(複数)からその意義を区別することができ, それぞれ(1)生活困窮・孤独, (2)医学的困難, (3)生活習慣上の問題, (4)人間関係関連, (5)脱落歴・再発, に分類された. 名称で代表される因子の意味づけは, 対象者における各因子の得点と属性の関連分析からもその妥当性が支持された. 〔結論〕結核保健指導担当者の経験に基づき提唱された総数24個の「リスク要因」は, 5個の「因子」で説明された. |
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ISSN: | 0022-9776 |