急性心筋梗塞に対する入院前血栓溶解療法は有効か?
急性心筋梗塞に対する発症早期の再灌流療法は死亡率の低下, 梗塞巣の縮小, 心機能の改善をもたらすことは広く知られています1)2). しかも, これらの改善効果は, 発症から再灌流までの時間が短ければ短いほど, かつ微小循環を含めた確実な再灌流が得られるほど大きいことが示されています. 薬物を使用した再灌流療法, すなわち静脈内血栓溶解療法はバルーンやステントを使用した経皮的冠動脈形成術に比較して, 死亡率が高く, 再梗塞や虚血再発が多く, 有効性は冠動脈形成術に劣るとする報告が多いのが現状です. しかし, 急性心筋梗塞の患者さんが全て冠動脈形成術が実施できる施設に運ばれるとは限りません. 血栓...
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Published in | 心臓 Vol. 36; no. 6; pp. 491 - 493 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
丸善
15.06.2004
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ISSN | 0586-4488 |
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Summary: | 急性心筋梗塞に対する発症早期の再灌流療法は死亡率の低下, 梗塞巣の縮小, 心機能の改善をもたらすことは広く知られています1)2). しかも, これらの改善効果は, 発症から再灌流までの時間が短ければ短いほど, かつ微小循環を含めた確実な再灌流が得られるほど大きいことが示されています. 薬物を使用した再灌流療法, すなわち静脈内血栓溶解療法はバルーンやステントを使用した経皮的冠動脈形成術に比較して, 死亡率が高く, 再梗塞や虚血再発が多く, 有効性は冠動脈形成術に劣るとする報告が多いのが現状です. しかし, 急性心筋梗塞の患者さんが全て冠動脈形成術が実施できる施設に運ばれるとは限りません. 血栓溶解療法は適応をきちんと判断すれば, どんな施設でも, どんな医師でもすばやく実施可能な治療法です. 本日は, いくつかの無作為比較試験を紹介しながら, 急性心筋梗塞に対する入院前血栓溶解療法の有効性について考えてみたいと思います. |
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ISSN: | 0586-4488 |