胸部大動脈人工血管置換術中の脳保護対策に関する最新の知見と新しい脳モニターの可能性
「要旨」胸部大動脈の修復中に行われる選択的脳分離体外循環の管理に関わる重要なパラメータとして脳灌流圧, 脳灌流量, 温度, 酸塩基平衡, ヘマトクリット, カニュレーションなどがある. 脳合併症を回避するための選択的脳分離体外循環の管理法について研究がなされてきたが, 依然として脳合併症の発生率は高率であり解決すべき問題である. 心臓血管手術中の脳保護対策に用いられる脳モニターとしては, 近赤外線分光法を用いた局所脳酸素飽和度, 経頭蓋骨超音波ドプラ法による脳血流速度測定などがあるが十分とはいえない. 我々は, 脳血流へのアプローチとして内頸動脈の分枝動脈である眼動脈血流に着目した. 近年,...
Saved in:
Published in | 体外循環技術 Vol. 42; no. 2; pp. 95 - 103 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.06.2015
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0912-2664 |
Cover
Summary: | 「要旨」胸部大動脈の修復中に行われる選択的脳分離体外循環の管理に関わる重要なパラメータとして脳灌流圧, 脳灌流量, 温度, 酸塩基平衡, ヘマトクリット, カニュレーションなどがある. 脳合併症を回避するための選択的脳分離体外循環の管理法について研究がなされてきたが, 依然として脳合併症の発生率は高率であり解決すべき問題である. 心臓血管手術中の脳保護対策に用いられる脳モニターとしては, 近赤外線分光法を用いた局所脳酸素飽和度, 経頭蓋骨超音波ドプラ法による脳血流速度測定などがあるが十分とはいえない. 我々は, 脳血流へのアプローチとして内頸動脈の分枝動脈である眼動脈血流に着目した. 近年, 眼科診療で使用されているレーザースペックルフローグラフィー (laser speckle flowgraphy : LSFG) を用いることで非侵襲的に眼循環を評価できる. 当施設では, LSFGを脳モニターの1つとして臨床使用を試みている. 今回, 胸部大動脈人工血管置換術に併用される選択的脳分離体外循環についての最新の知見を文献レビューし, 同時に胸部大動脈人工血管置換術中における脳モニターとしてのLSFGによる眼血流モニターについて紹介する. |
---|---|
ISSN: | 0912-2664 |