魚骨による食道心嚢瘻から細菌性心膜炎に至った1例
《Abstract》食道穿孔は医原性が多く, その他の原因として外傷や異物, 特発性などがある. 食道心嚢瘻をきたすことは稀であるが, 診断・治療に難渋することが多く死亡率も高い. 今回我々は, 魚骨による食道心嚢瘻から急性心膜炎をきたしたが, 外科的に摘出することで救命し得た症例を経験したため報告する. 症例は60代女性. 胸痛を主訴に前医を受診し, 心電図でST上昇や血圧低下を認めたため, 急性冠症候群疑いで当院循環器内科へ救急搬送された. 冠動脈造影検査では血圧低下をきたすような狭窄病変はなく, 心エコー検査やCT検査で多量の心嚢液貯留を認めたことから, 急性ウイルス性心膜炎疑いで内科的...
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Published in | 心臓 Vol. 55; no. 12; pp. 1176 - 1181 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本心臓財団・日本循環器学会
15.12.2023
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ISSN | 0586-4488 |
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Summary: | 《Abstract》食道穿孔は医原性が多く, その他の原因として外傷や異物, 特発性などがある. 食道心嚢瘻をきたすことは稀であるが, 診断・治療に難渋することが多く死亡率も高い. 今回我々は, 魚骨による食道心嚢瘻から急性心膜炎をきたしたが, 外科的に摘出することで救命し得た症例を経験したため報告する. 症例は60代女性. 胸痛を主訴に前医を受診し, 心電図でST上昇や血圧低下を認めたため, 急性冠症候群疑いで当院循環器内科へ救急搬送された. 冠動脈造影検査では血圧低下をきたすような狭窄病変はなく, 心エコー検査やCT検査で多量の心嚢液貯留を認めたことから, 急性ウイルス性心膜炎疑いで内科的加療が開始された. 入院10日目に意識障害をきたし, CT検査では心嚢内に多量のfree airを認めた. 入院時のCT画像を再度確認すると食道から心嚢に向かって穿通する魚骨様の異物を認め, 食道心嚢瘻から細菌性心膜炎に至ったと考えられた. 抗生剤加療を開始し心嚢ドレナージを施行したが, 心嚢液が再貯留し, 外科的摘出が必要と判断され当科紹介となった. 手術は左側方開胸アプローチで心膜切開を行い, 魚骨を摘出した. 術後経過は良好であり, 術後食道造影では食道穿孔の遺残は認めなかった. 術後20日目に自宅退院となった. |
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ISSN: | 0586-4488 |