赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドラインを踏まえた不規則抗体同定の基礎と実際

【はじめに】不規則抗体を検査することは, 受血者の血清中に存在する赤血球抗体に対する抗原陰性血を選択することで溶血性輸血副作用を未然に防止する意義があり, また妊婦においては新生児溶血性疾患の予知と対策に重要な意味をもつ. 近年, カラム凝集法を用いた不規則抗体スクリーニングや同定を導入する施設も増加しつつあるが, 従来法で実施していた時とは異なった問題点も浮上してきている. 平成15年5月に日本輸血学会から『赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドライン』(以下ガイドライン)が出された. このガイドラインを踏まえた上での, 今後の不規則抗体検査のあり方やカラム凝集法導入による課題等について検討して...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 52; no. 1; pp. 84 - 85
Main Author 鈴木由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 10.03.2006
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

Loading…
More Information
Summary:【はじめに】不規則抗体を検査することは, 受血者の血清中に存在する赤血球抗体に対する抗原陰性血を選択することで溶血性輸血副作用を未然に防止する意義があり, また妊婦においては新生児溶血性疾患の予知と対策に重要な意味をもつ. 近年, カラム凝集法を用いた不規則抗体スクリーニングや同定を導入する施設も増加しつつあるが, 従来法で実施していた時とは異なった問題点も浮上してきている. 平成15年5月に日本輸血学会から『赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドライン』(以下ガイドライン)が出された. このガイドラインを踏まえた上での, 今後の不規則抗体検査のあり方やカラム凝集法導入による課題等について検討していきたい. スクリーニングおよび同定検査の実際ガイドラインに「臨床的に意義のある不規則抗体は, ほぼ例外なく, 37℃反応相からの間接抗グロブリン法で陽性となる」と書かれているように, 検出に際しては, まず間接抗グロブリン法を含む2法以上の方法で抗体スクリーニング検査を実施し, 通常はスクリーニング検査で検出された方法と同一の方法でパネル赤血球を用い同定検査を行う. また検査を実施する際には患者の輸血歴, 妊娠歴, 投薬情報などが重要な要素となる. 臨床的に意義のある不規則抗体には単一型抗体と2種類以上の赤血球抗体を有する複合型抗体がある. 複合型抗体には冷式抗体(自然抗体)と免疫同種抗体が存在する場合や自己抗体と免疫同種抗体が存在する場合などがあり, 具体的な事例を挙げ同定方法を述べる. 今後の課題規則抗体検査の今後の課題として, 冷式抗体や酵素法のみで検出される抗体, 自己抗体陽性の場合などに関し, ガイドラインを踏まえた上での全国統一された検査方法の確立が必要となる.
ISSN:0546-1448