自己免疫性溶血性貧血における輸血例

自己免疫性溶血性貧血(以下AIHA)の患者に輸血を実施することは, 一般には少ない. その理由は適合血が得られないため, あるいは輸血効果が期待できぬためといわれるが, その実態はどうなのかは報告例がなく, 明らかではない. 今回AIHAの患者に特に副作用をみることなしに, 輸血を実施し得た2例を経験したので報告する. 症例1. 60歳女性. 両親はいとこ同志. 昭和49年黄疸が出現し, AIHAと診断された. 50年3月摘脾術を施行され, 以後ステロイド剤を投与されていたが, 56年2月胃に悪性リンパ腫が出現し, 胃切除術を受け, その後貧血が増悪し, 動悸, 嘔気, 嘔吐, 全身の脱力感を...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 28; no. 6; pp. 571 - 572
Main Authors 大導寺裕子, 矢野節子, 佐藤ヒロミ, 須田真美子, 岡村経一, 小松文夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1982
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ISSN0546-1448

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Summary:自己免疫性溶血性貧血(以下AIHA)の患者に輸血を実施することは, 一般には少ない. その理由は適合血が得られないため, あるいは輸血効果が期待できぬためといわれるが, その実態はどうなのかは報告例がなく, 明らかではない. 今回AIHAの患者に特に副作用をみることなしに, 輸血を実施し得た2例を経験したので報告する. 症例1. 60歳女性. 両親はいとこ同志. 昭和49年黄疸が出現し, AIHAと診断された. 50年3月摘脾術を施行され, 以後ステロイド剤を投与されていたが, 56年2月胃に悪性リンパ腫が出現し, 胃切除術を受け, その後貧血が増悪し, 動悸, 嘔気, 嘔吐, 全身の脱力感を訴えて本学に入院した. 赤血球124万, ヘモグロビン4.2g/dl, ヘマトクリット12%, 網状赤血球はほとんど0で, hemolytic crisisの状態を示していた. 血液型は, O型, Rh_1 Rh_2 , 直接クームス試験は, BroadとIgGで強陽性, C_3 は陰性, 間接クームス試験は陰性, 型特異性は認められなかった.
ISSN:0546-1448