混合唾液のキャピラリー電気泳動法による分析と同定

I.目的 唾液は, 義歯床の維持安定を図るうえで重要な因子の一つして取り上げられており, 当教室では, 唾液の性状と義歯床との関係について検討を行ってきている. 今回は, 操作性がより簡便で高性能であるキャピラリー電気泳動法により各年代の唾液成分の分析またリゾチーム, ラクトフェリン, 尿酸の同定を試みた. II. 方法 混合唾液は10歳以下8人, 20歳代10人, 30歳代10人, 義歯を装着している60歳以上6人計34名の健常者からスポイト法にて1ml採取し, 直ちに凍結乾燥を行った. 凍結乾燥した混合唾液を100μ1の蒸留水で溶解し, MILLPORE社製ウルトラフリーC3CL孔径0.5...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 19; no. 1; p. 132
Main Authors 椎名幸恵, 芝嘩彦, 木村江美子, 鈴木潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 31.03.1999
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ISSN0285-922X

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Summary:I.目的 唾液は, 義歯床の維持安定を図るうえで重要な因子の一つして取り上げられており, 当教室では, 唾液の性状と義歯床との関係について検討を行ってきている. 今回は, 操作性がより簡便で高性能であるキャピラリー電気泳動法により各年代の唾液成分の分析またリゾチーム, ラクトフェリン, 尿酸の同定を試みた. II. 方法 混合唾液は10歳以下8人, 20歳代10人, 30歳代10人, 義歯を装着している60歳以上6人計34名の健常者からスポイト法にて1ml採取し, 直ちに凍結乾燥を行った. 凍結乾燥した混合唾液を100μ1の蒸留水で溶解し, MILLPORE社製ウルトラフリーC3CL孔径0.5μmのフィルターに注入した. それを5,000回転, 20分間で遠心濾過し, 濾液を泳動用材料とした. また同定用にはリゾチーム(シグマ社製), ラクトフェリン(シグマ社製)そして尿酸(和光純薬製)を使用した. III結果と考察 エレクトフェログラムのピークを移動度の少ないものから便宜上番号を付けた. 混合唾液を分析した結果, 32の鮮明なピークが検出された. 純品のみで泳動した結果, リゾチームは5.09分, ラクトフェリン8.46分, 尿酸は4.51分であった. また唾液に混合するとリゾチームは5.25分, ラクトフェリンは8.65分, 尿酸は4.61分に移動した. 純品のみと唾液に混合したときの移動時間の違いは混合唾液の粘度によるものと考えられる. それぞれリゾチーム, ラクトフェリン, 尿酸とピークの高さの間にはいずれも直線関係が認められ, 検出した混合唾液の32のピークのうちリゾチームはピーク10,ラクトフェリンはピーク28,尿酸はピーク8と同定した.
ISSN:0285-922X