映像素材パターンのリラックス効果に関する一考察

【目的】パソコン(PC)を用いた長時間のデスクワークは継続的な緊張をもたらし心身の健康に影響を与える. PC作業の合間にリラクセーション映像を組み込むことでメンタルヘルス上の効果が期待できる. しかし映像の効果は個人によって様々であり, その要素は未だ解明されていない. 解明の一歩として, 4種類の映像素材パターンを用いた実験により, リラックス効果を考察する. 【方法】被験映像は, 文脈や対象物, 色等の好みを反映しないものとし, 単純なボールをモチーフとしたランダムな動きを伴うものとした. 被験者は9人(平均年齢35.7歳, 男4女5)であった. 「閉眼安静(3分)→被験映像試写(3分)」...

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Published in心身健康科学 Vol. 6; no. 2; p. 127
Main Authors 佐藤和彦, 藤田紘一郎, 鈴木はる江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心身健康科学会 10.09.2010
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Summary:【目的】パソコン(PC)を用いた長時間のデスクワークは継続的な緊張をもたらし心身の健康に影響を与える. PC作業の合間にリラクセーション映像を組み込むことでメンタルヘルス上の効果が期待できる. しかし映像の効果は個人によって様々であり, その要素は未だ解明されていない. 解明の一歩として, 4種類の映像素材パターンを用いた実験により, リラックス効果を考察する. 【方法】被験映像は, 文脈や対象物, 色等の好みを反映しないものとし, 単純なボールをモチーフとしたランダムな動きを伴うものとした. 被験者は9人(平均年齢35.7歳, 男4女5)であった. 「閉眼安静(3分)→被験映像試写(3分)」を基本とし, 試写時にマウス型電極の皮膚抵抗測定器にて時系列データを取得し, 試写前後に心拍・血圧を測定, 試写後に快適感の主観評価を行った. 【結果】被験映像(1)反射(壁で跳ねる), (2)飛来(手前に来る), (3)左右(左右に行き来), (4)拍動(前後への動き)ではリラックス度を示す皮膚抵抗相対スコア合計値は(1)が最も高く, (4)が最も低かった. (1)と(4)では有意に差があり, (1)と(2)では危険率7%, (1)と(3)では同12%で有意差は認められなかった. また, 快適度は(2)のみ他と有意に低くなった. 心拍は(4)のみ試写後が有意に上昇した以外は試写前後での有意な差はなかった. 血圧も有意な変化はなかった. 【考察】本実験でのボールの動きは平面のもの((1), (3))と奥行きを伴うもの((2), (4))に設定したが, 後者の主観評価と身体データには乖離がある. (2)の主観評価が不快側なのは防衛本能的なものと考えられるが, 皮膚抵抗からみると有意差はなかった. 音等では1/fゆらぎがリラックスをもたらすことが知られており, 変化量の程度が影響している可能性も想定され, 今後の研究課題である. 【結論】総合的に(1)が最もリラクセーション効果のあることが示唆された.
ISSN:1882-6881