フッ化物配合歯磨剤使用後の唾液中フッ素保持に与える洗口の影響

「はじめに」 種々なう蝕予防手技に関する多くの研究から, フッ素(以下, “F”とする)の応用は, その効果ならびに実用性の点で優れていることが明らかとなった. わが国において, Fの応用は全身応用よりも局所応用が広く利用されている. このF局所応用法にも種々あるが, 歯磨き行動が習慣化した現代においてF配合歯磨剤の使用は日常簡単に利用できる方法として位置づけられている. しかしながら, 現代の我が国のF配合歯磨剤の市場シェアは約46%(1994年)であり, 90%以上を示している諸外国に比べ低率である. F配合歯磨剤を使用することで局所的にFが適用され, 低濃度のFが口腔環境中に保持される....

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Published in神奈川歯学 Vol. 32; no. 2; pp. 137 - 150
Main Authors 山崎朝子, 飯塚喜一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.09.1997
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ISSN0454-8302

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Summary:「はじめに」 種々なう蝕予防手技に関する多くの研究から, フッ素(以下, “F”とする)の応用は, その効果ならびに実用性の点で優れていることが明らかとなった. わが国において, Fの応用は全身応用よりも局所応用が広く利用されている. このF局所応用法にも種々あるが, 歯磨き行動が習慣化した現代においてF配合歯磨剤の使用は日常簡単に利用できる方法として位置づけられている. しかしながら, 現代の我が国のF配合歯磨剤の市場シェアは約46%(1994年)であり, 90%以上を示している諸外国に比べ低率である. F配合歯磨剤を使用することで局所的にFが適用され, 低濃度のFが口腔環境中に保持される. このFによってエナメル質の成熟現象ならびに初期う蝕病巣の再石灰化の促進と, 歯垢中での酸産生の抑制効果が期待できるのである. このようなF配合歯磨剤のう蝕予防メカニズムから, 実用的でより効果の高い使用方法を考えるには, 安全で, しかも歯磨き(以下, ブラッシングとする)そのものの物埋的効果を阻害せずに, できるだけ多くのFを, できるだけ長時間口腔環境中に保持させるにはどうしたらよいかという点も検討すべきである.
ISSN:0454-8302