抗HTLV-1抗体陽転化症例の解析
平成11年4月より抗HTLV-1抗体陽性者の通知が開始され, 当センターにおいても献血者の陽性率は低下して来ている. しかし, 献血者の中には抗HTLV-1抗体が陽転化する症例があり(第42回日本輸血学会九州支部会報告), 今回, 1990年より約10年間の調査を実施し, 陽転化症例の解析, 感染経路, 陽転化率等を検討したので報告する. 「調査方法」 1990年度~2000年(10月)までの献血者で, 前回の献血で抗HTLV-1抗体陰性, 次回の献血で抗HTLV-1抗体陽性(PA法, IF法, EIA法陽性)を陽転化として性別, 年齢, 出身地等を検討した. 一部の症例についてプロウィルス検...
Saved in:
Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 222 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.2001
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
Cover
Summary: | 平成11年4月より抗HTLV-1抗体陽性者の通知が開始され, 当センターにおいても献血者の陽性率は低下して来ている. しかし, 献血者の中には抗HTLV-1抗体が陽転化する症例があり(第42回日本輸血学会九州支部会報告), 今回, 1990年より約10年間の調査を実施し, 陽転化症例の解析, 感染経路, 陽転化率等を検討したので報告する. 「調査方法」 1990年度~2000年(10月)までの献血者で, 前回の献血で抗HTLV-1抗体陰性, 次回の献血で抗HTLV-1抗体陽性(PA法, IF法, EIA法陽性)を陽転化として性別, 年齢, 出身地等を検討した. 一部の症例についてプロウィルス検出のためPCR法を試みた. 「結果」 陽転化症例は対象期間中, 95例, 男性19例, 女性76例が見い出された. 10代から50代以降の各年代の陽転化数は, 男性でそれぞれ, 0,4,8,6,1例, 女性で, 1,15,10,11,39例で, 50代以降の女性が39例と最も多く, 次が20代女性の15例であった. 90年度からの年度別調査では, 一番少ない年度で2例, 最も多い年度で15例が検出された. 輸血歴は全員なかった. また半数以上が熊本県でも陽性率の高いとされる地域の住所であった. PCR法は59例について行ったが, 6例が陰性であった. (30代女性2例, 50代女性3例, 40代男性1例) 「考察」 今回の約10年間の調査でも毎年度約10例前後の割合で陽転者が存在することが判った. これらの献血者の抗HTLV-1抗体の陽転化についても, 女性が多いこと, 陽転者の年齢が高いことより夫婦間による水平感染が示唆されたが, 実際には殆ど不明な点が多かった. 今後, 陽性者への通知が開始されたことにより水平感染によるものか母子感染によるものか, また, 感染から抗体出現までのウィンドウ期の問題等検討して行きたい. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |