血小板無力症合併妊娠の一例

血小板無力症は1981年Glanzmannが初めて報告した常染色体劣性遺伝の血小板機能異常症である. 血小板数は正常であるが, 凝集能が先天的に低下又は欠如しているため出血時間が著しく延長する稀な疾患であり, 手術や分娩に際しての特別な管理を有する. 今回我々は, 重症型血小板無力症患者の分娩に際し, 血漿交換による抗体除去とガンマグロブリン大量投与による血小板破壊抑制を施行後, 大量の血小板輸血を行い, 無事に出産し得た一症例を経験したので報告する. 「症例」27歳女性血小板無力症の診断にて通院中であり, 過去に血小板・赤血球輸血の既往があった. PLT値は32.2万/ulであるが, Sim...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 2; p. 228
Main Authors 清水直美, 清宮美香, 成田光朗, 長谷川浩子, 山本浩子, 伊藤道博, 小林美絵子, 浅井隆善, 清水久実子, 西村美樹, 月本一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2000
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ISSN0546-1448

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Summary:血小板無力症は1981年Glanzmannが初めて報告した常染色体劣性遺伝の血小板機能異常症である. 血小板数は正常であるが, 凝集能が先天的に低下又は欠如しているため出血時間が著しく延長する稀な疾患であり, 手術や分娩に際しての特別な管理を有する. 今回我々は, 重症型血小板無力症患者の分娩に際し, 血漿交換による抗体除去とガンマグロブリン大量投与による血小板破壊抑制を施行後, 大量の血小板輸血を行い, 無事に出産し得た一症例を経験したので報告する. 「症例」27歳女性血小板無力症の診断にて通院中であり, 過去に血小板・赤血球輸血の既往があった. PLT値は32.2万/ulであるが, Simplate法による出血時間では止血は確認されず, 事前の血小板輸注(20U)においても改善は認められなかった. Western blot法による血小板表面上のGPIIb/IIIa complexは5%以下であり, MPHA法にてGPIIb/IIIa抗体は128倍, 凝集能異常も確認された. また抗E抗体の産生も認められた.
ISSN:0546-1448