歯周炎は心房線維化に関連する : 歯周炎は心房細動の修正可能な危険因子か?

心房細動診療においては, 危険因子に対する包括的な介入が重要であり, 修正可能な危険因子の同定が必要である. 歯周炎は罹患率が高く, 歯科的治療介入による修正が可能であるが, 現在心房細動の危険因子とは位置づけられていない. 我々は心房細動の基質となる心房線維化に着目し, 手術中に切除した心房細動を有する76症例の左心耳組織を用いて, 歯周炎と心房線維化の関連を検討した. 術前に歯周炎の定量化指標として歯周炎症面積(periodontal inflamed surface area: PISA)を評価し, 組織学的に定量化した心房線維化の程度と比較検討したところ, PISAと心房線維化に正の相...

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Published in心電図 Vol. 44; no. 4; pp. 221 - 230
Main Authors 宮内俊介, 西裕美, 中野由紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本不整脈心電学会 20.12.2024
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Summary:心房細動診療においては, 危険因子に対する包括的な介入が重要であり, 修正可能な危険因子の同定が必要である. 歯周炎は罹患率が高く, 歯科的治療介入による修正が可能であるが, 現在心房細動の危険因子とは位置づけられていない. 我々は心房細動の基質となる心房線維化に着目し, 手術中に切除した心房細動を有する76症例の左心耳組織を用いて, 歯周炎と心房線維化の関連を検討した. 術前に歯周炎の定量化指標として歯周炎症面積(periodontal inflamed surface area: PISA)を評価し, 組織学的に定量化した心房線維化の程度と比較検討したところ, PISAと心房線維化に正の相関を認めた. 多変量解析でもPISAと心房線維化の関連は有意であった. PISAが高い患者では全身性炎症が亢進しているとされ, 歯周炎が全身性炎症を惹起し, 心房線維化を増悪することで心房細動に関与する機序が考察される. 歯周炎が心房細動の危険因子であることが明らかになれば, 心房細動診療における医科歯科連携により, 発症・再発予防につながると考える.
ISSN:0285-1660