(I-P3-10)バルーン拡張法により経口摂取可能となったDuchenne型筋ジストロフィー患者の一症例

【はじめに】食道入口部開大不能を認めたDuchenne型筋ジストロフィー(以下DMD)患者一例に対しバルーン拡張法を実施したところ経口摂取が可能となったので報告する. 【症例】17歳, DMD男性. 在宅で3食粗刻み食摂食. H17.5.5窒息にて当院入院, 気管内挿管, 人工呼吸器管理, 禁食. 5.18気管切開. 5.27ゼリー摂食を試すも誤嚥し, 言語聴覚士(以下ST)訓練処方された. 【経過】7.1 ST初診時3食経鼻栄養. 気切部より唾液の吸引を常に要し, 頭頚部, 口腔器官, 喉頭の可動域低下を認め, 口腔器官・頭頸部運動訓練を開始した. 嚥下造影検査(以下VF)にてA食道入口部の...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; pp. 362 - 363
Main Authors 竹野谷綾子, 池澤真紀, 伊藤有紀, 植村修, 大塚友吉, 大友学
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 31.12.2006
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ISSN1343-8441

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Summary:【はじめに】食道入口部開大不能を認めたDuchenne型筋ジストロフィー(以下DMD)患者一例に対しバルーン拡張法を実施したところ経口摂取が可能となったので報告する. 【症例】17歳, DMD男性. 在宅で3食粗刻み食摂食. H17.5.5窒息にて当院入院, 気管内挿管, 人工呼吸器管理, 禁食. 5.18気管切開. 5.27ゼリー摂食を試すも誤嚥し, 言語聴覚士(以下ST)訓練処方された. 【経過】7.1 ST初診時3食経鼻栄養. 気切部より唾液の吸引を常に要し, 頭頚部, 口腔器官, 喉頭の可動域低下を認め, 口腔器官・頭頸部運動訓練を開始した. 嚥下造影検査(以下VF)にてA食道入口部の通過, B喉頭侵入, C誤嚥, D喉頭蓋谷残留, E梨状陥凹残留, F喉頭挙上を経過に応じ評価し, VF所見に基づき訓練を実施した. 1回目(8.12)VFはゼリー小匙1/2杯, 液体2cc(2~4回目は同量・同形態で施行)でA通過全く無, B有, Cほぼ全量, D無, E少量, F僅かで, 8.23バルーン拡張法を訓練に追加. 2回目(9.30)A極少量, その他著変なし. 3回目(11.25)A・C中等量と改善, 11.28バルーン拡張法非実施とし液体で直接訓練開始. 4回目(12.16)A多量通過, B・C・E無, F約1/2椎体と改善, 12.20ゼリーで直接訓練開始. 12.29自宅退院し両親が訓練継続. 5回目(H18.2.24)A通過良好, B一口量多量で有, E高粘性・一口量多量で少量有と改善, 一口量小匙一杯, 複数回嚥下にて軟菜粗刻み~一口大食の摂食開始. 徐々に摂食量増加, 4.7経管抜去, 3食経口摂取可となった. 6回目(8.26)粘性, 一口量に関らずB・C無, その他著変なく, 食形態と摂食方法は継続とした. 【考察】本症例の嚥下障害は可逆的であり, 病期の進行よりも禁食による嚥下機能の廃用が主な原因であったと考えられた. バルーン拡張法による食道入口部への積極的なアプローチにより改善に繋がったと考えられた.
ISSN:1343-8441