岸野論文に対するEditorial Comment

岸野論文は, 第二世代の心臓細胞治療, すなわち生体組織幹細胞ではなくてヒト多能性幹細胞由来心筋細胞から分化誘導した心筋細胞を心疾患患者の心臓に移植する治療について, 現在までの前臨床試験の結果と, 試験の実現に伴って生じる様々な問題点およびその克服方法について網羅的に論じた, 優れた総説である. iPS細胞を含む多能性幹細胞の発見以来, 分化させた心筋細胞を不全心臓に注入・移植し治療するというコンセプトは常に想定され, iPS研究の臨床応用の大きな可能性として期待されてきたが, 実際に臨床試験を実施するまでに至るには大きく2つのハードルが存在していた....

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Published in心臓 Vol. 56; no. 6; p. 590
Main Author 伊藤正道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.06.2024
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ISSN0586-4488

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Summary:岸野論文は, 第二世代の心臓細胞治療, すなわち生体組織幹細胞ではなくてヒト多能性幹細胞由来心筋細胞から分化誘導した心筋細胞を心疾患患者の心臓に移植する治療について, 現在までの前臨床試験の結果と, 試験の実現に伴って生じる様々な問題点およびその克服方法について網羅的に論じた, 優れた総説である. iPS細胞を含む多能性幹細胞の発見以来, 分化させた心筋細胞を不全心臓に注入・移植し治療するというコンセプトは常に想定され, iPS研究の臨床応用の大きな可能性として期待されてきたが, 実際に臨床試験を実施するまでに至るには大きく2つのハードルが存在していた.
ISSN:0586-4488