勤労妊婦の切迫早産徴候と夫の支援に関するコホート研究
早産は, 胎児の健康状態に大きく影響する重要な要因である. その早産の危険因子の一つとして, 切迫早産がある. この段階で予防対策をとることは, 早産の早期予防につながる. 従来, 早産の母胎側の危険因子としては, 主として婦人科疾患等の器質的障害が指摘されている. 最近, 欧米の研究では, 精神的なサポートが早産罹患に影響することが報告された. そこで, 今回, 夫の妊婦への支援が切迫早産に影響するかどうかを検討するため, コホート研究を実施した. 対象は, 五つの病院の産科外来を妊娠16週以前, または22週以前に受診した妊婦である. 調査研究の内容を説明し, 調査協力の得られた妊婦を対象...
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Published in | 産業衛生学雑誌 Vol. 38; no. 5; p. 235 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本産業衛生学会
20.09.1996
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ISSN | 1341-0725 |
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Summary: | 早産は, 胎児の健康状態に大きく影響する重要な要因である. その早産の危険因子の一つとして, 切迫早産がある. この段階で予防対策をとることは, 早産の早期予防につながる. 従来, 早産の母胎側の危険因子としては, 主として婦人科疾患等の器質的障害が指摘されている. 最近, 欧米の研究では, 精神的なサポートが早産罹患に影響することが報告された. そこで, 今回, 夫の妊婦への支援が切迫早産に影響するかどうかを検討するため, コホート研究を実施した. 対象は, 五つの病院の産科外来を妊娠16週以前, または22週以前に受診した妊婦である. 調査研究の内容を説明し, 調査協力の得られた妊婦を対象とした. 16週に属性調査と第1回目に健康調査を実施した. 内容は夫の支援度, 仕事内容, ライフスタイル等である. 22週に第2回目, 30週に第3回目の健康調査を行った. 夫の支援度は6つの質問項目により, 評価した. 切迫早産の診断は, 1)腹部緊張, 2)下腹部痛, 3)出血の3徴候の一つ以上あれば, 切迫早産とした. 解析は, 16週, 22週のそれぞれの時点における夫の支援度と22週以降の切迫早産の罹患との関連を, Cox proportional hazards modelを用いて, 相対危険度を算出して検討した. 結果は, 勤労妊婦は, 初産婦, 経産婦とも, 専業主婦に比べ, 切迫早産, 早産の罹患率は低い傾向にあった. 夫の支援度との関連は, 初産婦の16週の性生活に配慮しないことがリスクを有意に下げる結果以外は, すべて関連は認められなかった. 妊娠早期の夫の支援が, 切迫早産の罹患を予防することは認められなかった. むしろ, 勤労妊婦より, 専業主婦の方が切迫が多い傾向がみられ, 企業の健康管理と何らかの関連があるのかどうか, 今後さらに検討していきたい. |
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ISSN: | 1341-0725 |