左尿管癌術後に上腸間膜動脈症候群を発症した一例

「抄録」 : 症例は70歳, 女性. 膀胱癌術後で当科フォロー中の患者. 20XX年10月の尿細胞診でclass IVの診断となり, 造影CTと尿管鏡を施行し, 左尿管癌の診断となる. 20XX + 1年に腹腔鏡下左腎尿管全摘除術を施行した. 術後経過は良好だったが, 術後5日目に嘔吐あり. 術後6日目のCTで十二指腸水平部が上腸間膜動脈に圧排されている所見があり, 上腸間膜動脈症候群と診断した. 保存的加療で症状改善し, 術後17日目に退院となる. その後は再発なく経過している. 術後に頻回に嘔吐を認める症例では上腸間膜動脈症候群を疑う必要がある. 上腸間膜動脈症候群は十二指腸水平部が上腸間...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 1; pp. 28 - 31
Main Authors 元貴彦, 浦慎太郎, 小西高俊, 佐藤親子, 恩塚雅子, 江頭稔久, 武居哲郎, 加野資典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.10.2022
Online AccessGet full text
ISSN0029-0726

Cover

More Information
Summary:「抄録」 : 症例は70歳, 女性. 膀胱癌術後で当科フォロー中の患者. 20XX年10月の尿細胞診でclass IVの診断となり, 造影CTと尿管鏡を施行し, 左尿管癌の診断となる. 20XX + 1年に腹腔鏡下左腎尿管全摘除術を施行した. 術後経過は良好だったが, 術後5日目に嘔吐あり. 術後6日目のCTで十二指腸水平部が上腸間膜動脈に圧排されている所見があり, 上腸間膜動脈症候群と診断した. 保存的加療で症状改善し, 術後17日目に退院となる. その後は再発なく経過している. 術後に頻回に嘔吐を認める症例では上腸間膜動脈症候群を疑う必要がある. 上腸間膜動脈症候群は十二指腸水平部が上腸間膜動脈に圧排されることにより通過障害を呈する状態である. 今回我々は左腎尿管全摘後に上腸間膜動脈症候群を発症した症例を経験したため文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0029-0726