II級1類不正咬合者の咬合様式に関する研究

「緒言」 歯科矯正学においては各個人が有する天然歯を素材とし, その位置や軸傾斜をコントロールすることによって咬合の不正を改善するとともに, 正常な下顎の機能を回復し, 各個体毎の正常咬合を完成させることを治療目標としている. したがって, 治療の際には, 個々の歯および歯列弓の形態や咬合状態を正確に把握する必要がある. 今まで, 咬合再構成を行うに際し, その歯のもつ機能を十分発揮しうるか否かを決定する意味で, 歯軸が非常に重要な一要素であると考えられている. そのため, 歯軸に関しては数多くの研究報告がなされている. しかし, 下顎運動を考慮した咬合再構成を行う際には, 歯軸だけでなく,...

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Published in神奈川歯学 Vol. 29; no. 3; pp. 248 - 260
Main Authors 北條えみ, 鈴木祥井
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.12.1994
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」 歯科矯正学においては各個人が有する天然歯を素材とし, その位置や軸傾斜をコントロールすることによって咬合の不正を改善するとともに, 正常な下顎の機能を回復し, 各個体毎の正常咬合を完成させることを治療目標としている. したがって, 治療の際には, 個々の歯および歯列弓の形態や咬合状態を正確に把握する必要がある. 今まで, 咬合再構成を行うに際し, その歯のもつ機能を十分発揮しうるか否かを決定する意味で, 歯軸が非常に重要な一要素であると考えられている. そのため, 歯軸に関しては数多くの研究報告がなされている. しかし, 下顎運動を考慮した咬合再構成を行う際には, 歯軸だけでなく, 上顎の歯の位置や軸傾斜によって変化する歯冠表面に存在する歯の誘導路も重要な一つの要因であると考えられる. そして, 歯の誘導路は立体的な下顎運動と関係しているため, 顎口腔系, いいかえれば, 歯, 歯周組織, 顎関節, 神経筋機構ならびに脈管系の相互作用をも考慮して適切に位置づけなければならない.
ISSN:0454-8302