著明な好中球減少を呈した患者中の抗好中球抗体の解析

緒言:今回我々は, 抗好中球抗体によると思われる好中球減少症例を経験し, その抗体の特異性を検討したので報告する. 症例:75歳女性. H6年6月より左下顎腫脹が出現し, 血液検査にて著明な白血球減少を認め, 好中球分節核球の著減を認めた. 骨髄中の成熟好中球も著減し, 未熟な顆粒球系細胞は残存していた. 抗体測定法:患者と同一またはO型正常ドナー血液より好中球を密度勾配遠心法にて単離し, 患者血清または正常血清と37℃30分間, 次いで抗ヒトIgG-FITCと反応後flow cytometerで解析した. 結果:抗体の好中球への結合はドナー17人中13人に認められた. また患者好中球とも反応...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 42; no. 3; p. 136
Main Authors 村山徹, 井本しおん, 橋本誠, 椋本芳樹, 村山美香, 千原和夫, 宮本光子, 寮隆吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.06.1996
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ISSN0546-1448

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Summary:緒言:今回我々は, 抗好中球抗体によると思われる好中球減少症例を経験し, その抗体の特異性を検討したので報告する. 症例:75歳女性. H6年6月より左下顎腫脹が出現し, 血液検査にて著明な白血球減少を認め, 好中球分節核球の著減を認めた. 骨髄中の成熟好中球も著減し, 未熟な顆粒球系細胞は残存していた. 抗体測定法:患者と同一またはO型正常ドナー血液より好中球を密度勾配遠心法にて単離し, 患者血清または正常血清と37℃30分間, 次いで抗ヒトIgG-FITCと反応後flow cytometerで解析した. 結果:抗体の好中球への結合はドナー17人中13人に認められた. また患者好中球とも反応し自己抗好中球抗体と考えられた. NA1, NA2等の抗原血球に対して患者血清は特異性を示さなかった. Western blotting法にて標的抗原は70kDと40kDの蛋白に認められた.
ISSN:0546-1448