青森県における原子力災害を想定した医療ニーズの推計 - DHCoSを用いた事前リストに基づく評価と対応のあり方

「要旨」 【目的】青森県の原子力発電所近隣地域を対象に, 原子力災害を考慮したDHCoS事前リストを作成し医療ニーズ推計を行った. 【方法】原子力発電所から半径30km内に位置する医療機関などの情報を収集し, 倒壊・停電・断水・浸水・放射線防護といった各施設のリスクを分析した. 【結果】空間放射線量が基準値以上になると, 放射線防護機能を有しない病院1件, 社会福祉施設43件に段階的な避難が必要になることがわかった. 地震に伴う複合災害の場合, 倒壊リスクが高い病院1件と社会福祉施設3件, 浸水リスクが高い社会福祉施設14件についても早期の支援が必要になることがわかった. 【考察】作成した事前...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Journal of Disaster Medicine Vol. 29; no. 3; pp. 222 - 229
Main Authors 辻口貴清, 伊藤勝博, 奈良岡征都, 花田裕之, 雪田大樹, 小笠原賢, 高橋礼子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本災害医学会 31.12.2024
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「要旨」 【目的】青森県の原子力発電所近隣地域を対象に, 原子力災害を考慮したDHCoS事前リストを作成し医療ニーズ推計を行った. 【方法】原子力発電所から半径30km内に位置する医療機関などの情報を収集し, 倒壊・停電・断水・浸水・放射線防護といった各施設のリスクを分析した. 【結果】空間放射線量が基準値以上になると, 放射線防護機能を有しない病院1件, 社会福祉施設43件に段階的な避難が必要になることがわかった. 地震に伴う複合災害の場合, 倒壊リスクが高い病院1件と社会福祉施設3件, 浸水リスクが高い社会福祉施設14件についても早期の支援が必要になることがわかった. 【考察】作成した事前リストは, 発災後早期に機能維持支援体制を確立させるべき施設や放射線防護機能の観点から避難の必要性がある施設の推計に役立つことが示唆された. 【結語】各施設の放射線防護対策状況を含めた事前リストにより, 原子力災害時の医療ニーズを推計することが可能となる.
ISSN:2189-4035