LIFEシステムを用いた気道病変の検討

自家蛍光の変化により気道粘膜病変を検出するLIFE(Lung Imaging Fluorescence Endoscope)-LUNG蛍光内視鏡システムを用いて気道の観察を行い, その有用性を検討した. 胸部レントゲン写真に活動性病変がなく, 病巣の病理組織検査を行った10症例24部位を対象とした. ビデオ内視鏡検査では24病巣中17部位に粘膜の変化を認め, LIFEでは22部位に自家蛍光の低下を認めた. ビデオ内視鏡とLIFEの両方に異常があった16部位の病理組織は, 扁平上皮癌3(2病巣は中心型早期癌), 扁平上皮化生6, 異常なし7であった. LIFEのみに所見を認めた6部位は, 扁平上...

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Published in気管支学 Vol. 20; no. 3; p. 253
Main Authors 今村文生, 宇田裕史, 船越俊幹, 中山富雄, 中村慎一郎, 楠洋子, 宝来威
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.04.1998
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ISSN0287-2137

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Summary:自家蛍光の変化により気道粘膜病変を検出するLIFE(Lung Imaging Fluorescence Endoscope)-LUNG蛍光内視鏡システムを用いて気道の観察を行い, その有用性を検討した. 胸部レントゲン写真に活動性病変がなく, 病巣の病理組織検査を行った10症例24部位を対象とした. ビデオ内視鏡検査では24病巣中17部位に粘膜の変化を認め, LIFEでは22部位に自家蛍光の低下を認めた. ビデオ内視鏡とLIFEの両方に異常があった16部位の病理組織は, 扁平上皮癌3(2病巣は中心型早期癌), 扁平上皮化生6, 異常なし7であった. LIFEのみに所見を認めた6部位は, 扁平上皮化生3, 異常なし3であり, ビデオ内視鏡でのみ異常を呈した1部位の病理組織は正常であった. 喀痰中に扁平上皮癌細胞を認めた1症例においては, ビデオ内視鏡下で行った3回の検査で左B6と底幹間のspurに発赤, 肥厚を認めるも, 細胞診, 組織診はともに陰性であった. LIFEシステムを用いたところ, 同部位における病巣の局在が鮮明になり擦過細胞診で癌細胞を検出できた. LIFEシステムは扁平上皮化生や癌病変を発見し, 病巣の正確な局在を決定するのに有用である. 今回の検討ではLIFE単独で発見された癌病巣はなく, 中心型早期癌の発見にLIFEシステムが寄与するか否かは引き続き検討が必要である.
ISSN:0287-2137