循環器疾患と交感神経系

「はじめに」交感神経系が, 最も短時間に強力に作動する血圧調節系であることは, 古くから知られています. 交感神経系の活性化が, 高血圧・虚血性心疾患・心不全・不整脈など多くの循環器疾患の発症に関与していることは, 以下の3つの事実から明らかです. その1つは, 循環器疾患患者において交感神経活動が亢進していること, 第2に, 循環器疾患の治療ではいずれもβ遮断薬が有効であること, 第3に, 交感神経刺激によりこれら循環器疾患を誘発できることです. このような事実にもかかわらず, 交感神経系はレニン・アンジオテンシン系よりも病態生理学的意義が軽んじられてきた感があります. しかし, 最近, 圧...

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Published in心臓 Vol. 45; no. 10; pp. 1341 - 1345
Main Author 麻野井英次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.10.2013
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ISSN0586-4488

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Summary:「はじめに」交感神経系が, 最も短時間に強力に作動する血圧調節系であることは, 古くから知られています. 交感神経系の活性化が, 高血圧・虚血性心疾患・心不全・不整脈など多くの循環器疾患の発症に関与していることは, 以下の3つの事実から明らかです. その1つは, 循環器疾患患者において交感神経活動が亢進していること, 第2に, 循環器疾患の治療ではいずれもβ遮断薬が有効であること, 第3に, 交感神経刺激によりこれら循環器疾患を誘発できることです. このような事実にもかかわらず, 交感神経系はレニン・アンジオテンシン系よりも病態生理学的意義が軽んじられてきた感があります. しかし, 最近, 圧反射を介する交感神経亢進が長期間の血圧調節に深くかかわっていること, メタボリック症候群やインスリン抵抗性にも密接に関連することが次々明らかにされ, 交感神経系の重要性が再認識されるようになりました.
ISSN:0586-4488