FcRIII関連抗体の好中球機能に与える影響

目的 好中球特異モノクローナル抗体, TAG1(NA1), TAG2(NA2), TAG3(FcRIII)が好中球機能に与える影響を調べた. また, これらの好中球細胞表面マーカーを測定する臨床的意義について検討した. 方法と結果 (1)EAロゼット形成抑制試験 ; NA1/NA1, NA1/NA2, NA2/NA2の各型好中球にTAG1, TAG2, TAG3を感作させ, IgG1コントロール感作好中球のEAロゼット形成率に対する%抑制率を求めた. TAG1はNA1陽性好中球のEAロゼット形成を抑制し, TAG2はNA2陽性好中球のEAロゼット形成を抑制した. TAG3はすべての好中球のEA...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 2; p. 192
Main Authors 谷口菊代, 小林正夫, 原田浩徳, 平岡朝子, 谷廣ミサエ, 高田昇, 岡田浩佑, 木村昭郎, 上田一博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2000
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Summary:目的 好中球特異モノクローナル抗体, TAG1(NA1), TAG2(NA2), TAG3(FcRIII)が好中球機能に与える影響を調べた. また, これらの好中球細胞表面マーカーを測定する臨床的意義について検討した. 方法と結果 (1)EAロゼット形成抑制試験 ; NA1/NA1, NA1/NA2, NA2/NA2の各型好中球にTAG1, TAG2, TAG3を感作させ, IgG1コントロール感作好中球のEAロゼット形成率に対する%抑制率を求めた. TAG1はNA1陽性好中球のEAロゼット形成を抑制し, TAG2はNA2陽性好中球のEAロゼット形成を抑制した. TAG3はすべての好中球のEAロゼット形成を抑制した. (2)Heat aggregated IgG(HAG)結合抑制試験 : HAG結合におけるTAG1, TAG2, TAG3の影響についても同様に検討した. TAG1, TAG2, TAG3により抑制は全くみられず, 逆に結合量が増加した. (3)免疫食作用に与える影響 : ヒトIgG感作蛍光粒子の貧食におけるTAG1, TAG2, TAG3の影響についても同様に検討した. TAG1, TAG2, TAG3により貧食量は増加した. (4)血液疾患患者の好中球細胞表面マーカーを測定したところ, 健常成人とは異なる表現パターンがみられた. 考察 TAG1, TAG2, TAG3がFcRIIIに結合した場合, 好中球機能低下と冗進の両方が起こることを示唆するものと考えられた. また, 好中球細胞表面マーカーは, 患者の好中球機能を診断する指標になると考えられた.
ISSN:0546-1448