X線照射血液における白血球除去フィルター効果について

【目的】最近, GVHD等の輸血副作用を防止するために血液にX線照射が実施され, さらに白血球に起因する種々の副作用を防止する目的で白血球除去フィルターにかける必要性も生じてきた. 血液に対するX線照射の影響はほとんどないと言われているが, 白血球除去にどのような影響があるかは明らかでない. そこで, 我々はX線照射した血液を, 白血球除去メカニズムが異なる数種のフィルターを用いて, その除去効果にどのような影響があるのかについて検討した. 【方法】1~5日間保存したABO型が同じ400mlRC-MAPの3バッグを混和後, 3つの400ml分離バッグに等量それぞれ分注した. 白血球除去フィルタ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 287
Main Authors 内藤俊二, 山村一, 児山幸生, 佐藤泰司, 山本一夫, 宮原正行, 喜多嶋康一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】最近, GVHD等の輸血副作用を防止するために血液にX線照射が実施され, さらに白血球に起因する種々の副作用を防止する目的で白血球除去フィルターにかける必要性も生じてきた. 血液に対するX線照射の影響はほとんどないと言われているが, 白血球除去にどのような影響があるかは明らかでない. そこで, 我々はX線照射した血液を, 白血球除去メカニズムが異なる数種のフィルターを用いて, その除去効果にどのような影響があるのかについて検討した. 【方法】1~5日間保存したABO型が同じ400mlRC-MAPの3バッグを混和後, 3つの400ml分離バッグに等量それぞれ分注した. 白血球除去フィルターとしてイムガードIIIRC(テルモ), BPF4(ポール), 及びSepacellRN40(アサヒメディカル)を使用し, 等量分注後の血液を各フィルターで浪過した. X線照射は, 混和前の血液に0, 15, 30, 及び100Gyになるよう行った(日立X線照射装置MBR-1520R). フィルター性能の評価として, 赤血球回収率, 白血球除去率, 及び濾過時間を測定した. 濾過後の白血球数の測定には, Negeotte Chamberを利用した. 【結果】15~100GyのX線照射血における赤血球回収率及び白血球除去率は, いずれのフィルターを用いても照射していない場合とほぼ同等であった. 濾過時間は, イムガードIIIRCでは不変であったが, BPF4とSepacell RN40では照射血において数分短縮された. 【考察】白血球除去フィルターの除去メカニズムとして白血球の吸着効果とふるい効果が考案され, イムガードIIIRCはふるい効果のみ, BPF4とSepacell RN40は両効果を応用している. 白血球の除去メカニズムが異なるにもかかわらず, いずれのフィルターもX線照射した血液での白血球除去性能は低下しないことが示された. したがって, 現在市販されている白血球除去フィルターは, X線照射血液にも十分適用できると考えられる.
ISSN:0546-1448