神経栄養因子感受性からみた椎間板性腰痛のメカニズムについて

侵害情報を伝える小型の後根神経節(DRG)ニューロンはその神経栄養因子感受性によりNGF感受性ニューロンとGDNF感受性ニューロンに分類される. 今回, 神経トレーサーのFluoro-Gold(FG)を用いてラットL5/6椎間板(椎間板群)またはL4-L5支配領域の皮膚(皮膚群)を支配するDRGニューロンを特定し, NGF感受性ニューロンのマーカーであるCGRPとGDNF感受性ニューロンのマーカーであるIB4に対する二重組織染色を行った. FG標識ニューロンのCGRP陽性率は, 椎間板群で54%, 皮膚群で41%であった. IB4陽性率は椎間板群で1%, 皮膚群で20%で, 椎間板群で有意に少...

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Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 10; no. 1; p. 169
Main Authors 青木保親, 大鳥精司, 高橋和久, 高橋弦, 男澤朝行, 銅冶英雄, 斉藤朋子, 守屋秀繁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 30.10.2004
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ISSN1345-9074

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Summary:侵害情報を伝える小型の後根神経節(DRG)ニューロンはその神経栄養因子感受性によりNGF感受性ニューロンとGDNF感受性ニューロンに分類される. 今回, 神経トレーサーのFluoro-Gold(FG)を用いてラットL5/6椎間板(椎間板群)またはL4-L5支配領域の皮膚(皮膚群)を支配するDRGニューロンを特定し, NGF感受性ニューロンのマーカーであるCGRPとGDNF感受性ニューロンのマーカーであるIB4に対する二重組織染色を行った. FG標識ニューロンのCGRP陽性率は, 椎間板群で54%, 皮膚群で41%であった. IB4陽性率は椎間板群で1%, 皮膚群で20%で, 椎間板群で有意に少ないことが分かった. これより, 椎間板を支配する侵害受容性のDRGニューロンはほとんどがNGF感受性ニューロンであることが分かった. NGFは炎症時に誘導され疼痛を増強する性質があり, 椎間板性腰痛のメカニズムに関係している可能性が示唆された.
ISSN:1345-9074