悪性骨腫瘍に対する患肢温存治療後の深部感染
「はじめに」近年, 悪性骨腫瘍に対して患肢温存治療が盛んに行われている. しかし, この治療はまだ確立されたものではなく, 局所再発, 深部感染, 人工関節のゆるみや破損, 移植同種骨の骨折などさまざまな術後合併症の発生が指摘されている1)5). 深部感染は局所再発とならんで重篤な合併症であり, 患肢切断の転機をたどる症例も少なくない1)5). しかし, この治療についての臨床的検討ほとんどなされていない. そこで, 我々は患肢温存治療後に深部感染を起こした自験例の治療結果から, 治療法の要点について検討を行った. 対象および方法 1980年以降, 当教室で行った原発性および浸潤性悪性骨腫瘍な...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 45; no. 3; pp. 929 - 933 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
25.09.1996
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ISSN | 0037-1033 |
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Summary: | 「はじめに」近年, 悪性骨腫瘍に対して患肢温存治療が盛んに行われている. しかし, この治療はまだ確立されたものではなく, 局所再発, 深部感染, 人工関節のゆるみや破損, 移植同種骨の骨折などさまざまな術後合併症の発生が指摘されている1)5). 深部感染は局所再発とならんで重篤な合併症であり, 患肢切断の転機をたどる症例も少なくない1)5). しかし, この治療についての臨床的検討ほとんどなされていない. そこで, 我々は患肢温存治療後に深部感染を起こした自験例の治療結果から, 治療法の要点について検討を行った. 対象および方法 1980年以降, 当教室で行った原発性および浸潤性悪性骨腫瘍など33例に対する患肢温存治療後に, 骨髄炎や関節炎などの深部感染が5例15.2%で起きた(表1). 罹患部位はいずれも大腿骨と脛骨で, 術前治療として症例1から4は放射線療法や化学療法を施行した. 腫瘍の根治的局所コントロールのため, 症例1では大線量放射線外照射後に病巣掻爬を, 症例2,3では広範切除を, 症例4,5では術中照射を施行した4). そして, 初回手術時の再建は症例1,4,5が罹患部骨関節で, 症例2,3が人工骨関節(京セラ)や同種骨で行った. |
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ISSN: | 0037-1033 |