小児に認められた集合性歯牙腫の3症例

「緒言」 歯牙腫は顎骨に発生する歯系腫瘍のうち, 歯胚の形成異常から生ずる奇型腫で, 歯の硬組織, すなわちエナメル質, 象牙質およびセメント質の増殖からなるものであるといわれ, その発現頻度は歯系腫瘍の中では最も少ないとされている. とくに小児に認められた集合性歯牙腫は稀で, その報告も極めて少ない. 歯牙腫は永久歯の萌出遅延など歯列の形成に影響を与えることが知られており, したがって小児のうちに発見し, これを摘出することによって, その後の影響を可及的に少なくする必要がある. 著者らは最近5年間, 本学小児歯科外来において, 4才, 6才および8才児に非炎症性の集合性歯牙腫を経験したので...

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Published in神奈川歯学 Vol. 17; no. 2; pp. 314 - 323
Main Authors 畑良明, 小泉政義, 伊東泰蔵, 杉村和昭, 檜垣旺夫, 中村聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.09.1982
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」 歯牙腫は顎骨に発生する歯系腫瘍のうち, 歯胚の形成異常から生ずる奇型腫で, 歯の硬組織, すなわちエナメル質, 象牙質およびセメント質の増殖からなるものであるといわれ, その発現頻度は歯系腫瘍の中では最も少ないとされている. とくに小児に認められた集合性歯牙腫は稀で, その報告も極めて少ない. 歯牙腫は永久歯の萌出遅延など歯列の形成に影響を与えることが知られており, したがって小児のうちに発見し, これを摘出することによって, その後の影響を可及的に少なくする必要がある. 著者らは最近5年間, 本学小児歯科外来において, 4才, 6才および8才児に非炎症性の集合性歯牙腫を経験したので報告する. 「症例1」 患児 : K.Y. 女 4才11ヵ月(昭和45年7月4日生) 初診 : 昭和50年6月2日 主訴 : 齲蝕処置 既往症 : 悪阻は軽度で約3ヵ月より1週間程続き, 妊娠後期に重症な妊娠中毒症に罹患したほか特記すべき事項はない.
ISSN:0454-8302