遺伝性大腸癌 - 家族に大腸癌の方がいる場合に考えること

「I. はじめに」本邦において大腸癌の罹患数は男女を問わず増加の一途をたどっている. 男性では10名に1名が女性では12名に1名が一生のうちで大腸癌にかかると計算されており, 家族や家系において大腸癌の方がいるという状況は決して珍しいことではない. 大腸癌の発生リスクとしては加齢, 飲酒・喫煙・肥満などの生活習慣などが知られているが, 遺伝的素因の関与する大腸癌も一部ではあるが存在する. 原因遺伝子の明らかになっている大腸癌はあまり多くないが遺伝性大腸癌と呼称される. 代表的疾患としては家族性大腸腺腫症(Familial adenomatous polyposis:FAP)とリンチ症候群が挙げ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in杏林医学会雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 15 - 19
Main Authors 須並英二, 麻生喜祥, 飯岡愛子, 若松喬, 本多五奉, 片岡功, 金翔哲, 吉敷智和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 01.04.2024
Online AccessGet full text
ISSN0368-5829

Cover

Loading…
More Information
Summary:「I. はじめに」本邦において大腸癌の罹患数は男女を問わず増加の一途をたどっている. 男性では10名に1名が女性では12名に1名が一生のうちで大腸癌にかかると計算されており, 家族や家系において大腸癌の方がいるという状況は決して珍しいことではない. 大腸癌の発生リスクとしては加齢, 飲酒・喫煙・肥満などの生活習慣などが知られているが, 遺伝的素因の関与する大腸癌も一部ではあるが存在する. 原因遺伝子の明らかになっている大腸癌はあまり多くないが遺伝性大腸癌と呼称される. 代表的疾患としては家族性大腸腺腫症(Familial adenomatous polyposis:FAP)とリンチ症候群が挙げられる. 大腸癌の疫学に加えて代表的な遺伝性大腸癌について概説する. 「II. 大腸癌の疫学の概略」本邦において1年間に新たに癌と診断される患者数は, 2019年のデータでは男性56万6460人, 女性43万2607人, 合計99万9075人と報告され, 現在は100万人を超えていると考えられる.
ISSN:0368-5829