輸血用血液における抗HBc抗体測定の意義

輸血後B型肝炎は献血血液に対し, R・PHA法によるCheck・Systemの導入以来, 減少してきた. しかし未だ皆無とは云い難い状況にある. 今回, 私共は, 献血血液における抗HBc抗体の動態について検討を加えた. 検討した献血血液中の抗HBc抗体は, 12.8%(383/2, 982例)に認められ, しかも凝集法による抗体価2^10 ~2^13 及び2^14 以上の高力価例は, それぞれ3.3%及び1.1%に認められた. 次いで, これら抗HBc抗体陽性血において, HBs抗原に関し, EIA法及びR・PHA法にて検討し, 抗HBc抗体価との関連について検討した. その結果, EIA法...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 35; no. 3; p. 398
Main Authors 則竹保治, 五十嵐満, 佐藤勝敏, 渡辺岩雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.06.1989
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Summary:輸血後B型肝炎は献血血液に対し, R・PHA法によるCheck・Systemの導入以来, 減少してきた. しかし未だ皆無とは云い難い状況にある. 今回, 私共は, 献血血液における抗HBc抗体の動態について検討を加えた. 検討した献血血液中の抗HBc抗体は, 12.8%(383/2, 982例)に認められ, しかも凝集法による抗体価2^10 ~2^13 及び2^14 以上の高力価例は, それぞれ3.3%及び1.1%に認められた. 次いで, これら抗HBc抗体陽性血において, HBs抗原に関し, EIA法及びR・PHA法にて検討し, 抗HBc抗体価との関連について検討した. その結果, EIA法により高力価を示したHBs抗原陽性28例はすべてR・PHA法によっても陽性を示したが, EIA法で低力価のHBs抗原陽性5例は, 抗HBc抗体価が高値であるにもかかわらず, R・PHA法では立証されたかった. つまり, 現在のR・PHA法によって検出されない低力価のHBs抗原が定量的に抗HBc抗体を測定することによって認められたことからして, 抗HBc抗体を併せて測定することの意義は有ると云わざるを得ない.
ISSN:0546-1448