完全断酒による心機能の回復とともに, ^^123 I-MIBG集積の改善を認めたアルコール性心筋症の1例

^^123 I-MIBG心筋シンチグラムは, 最近拡張型心筋症において特徴的な所見を示すことが知られ, 拡張型心筋症の重症度評価や予後の判定に用いられている. 今回我々は, 完全断酒による心機能の回復とともに, ^^123 I-MIBG集積の改善およびwashout rateの低下を認めたアルコール性心筋症の1例を経験したので報告する. 症例は46歳の男性で, 長期にわたり大量のアルコールを摂取していた. 胸部圧迫感と呼吸困難が出現し, 重篤な心不全をきたしたため入院となった. 心エコー検査では左室内腔の著明な拡大と左心機能の低下を認め, 拡張型心筋症と同様の病態を示した. 左心室の心筋生検組...

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Published in心臓 Vol. 28; no. 1; pp. 58 - 63
Main Authors 鈴木健, 池田浩志郎, 伊藤公人, 鳥山隆之, 原田和彦, 岩瀬幹生, 澤田美穂, 小嶋正義, 土肥靖明, 佐藤孝一, 多田豊曠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.01.1996
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Summary:^^123 I-MIBG心筋シンチグラムは, 最近拡張型心筋症において特徴的な所見を示すことが知られ, 拡張型心筋症の重症度評価や予後の判定に用いられている. 今回我々は, 完全断酒による心機能の回復とともに, ^^123 I-MIBG集積の改善およびwashout rateの低下を認めたアルコール性心筋症の1例を経験したので報告する. 症例は46歳の男性で, 長期にわたり大量のアルコールを摂取していた. 胸部圧迫感と呼吸困難が出現し, 重篤な心不全をきたしたため入院となった. 心エコー検査では左室内腔の著明な拡大と左心機能の低下を認め, 拡張型心筋症と同様の病態を示した. 左心室の心筋生検組織像では心筋細胞横径の大小不同, 一部空胞化と軽度の心筋障害を示唆する所見を得た. ^^123 I-MIBG心筋SPECTでは下壁を中心に集積が低下し, wash outが亢進(%washout rate39.8%)していた. 以上より, アルコール性心筋症も疑われたため, 心不全の治療後4カ月間の完全断酒を行ったところ, 心エコー検査で左心機能の著明な改善を示し, ^^123 I-MIBG心筋SPECTでも集積低下は改善しwashoutの亢進も認めなくなった(%washout rate -2.1%). よって, ^^123 I-MIBG心筋SPECTを経時的に行うことはアルコール性心筋症の重症度評価, および予後判定に有用であることが示唆された.
ISSN:0586-4488