ヒト乾燥頭蓋における咬合力の減衰に関する研究

「緒言」 顎機能時に咬合力が顔面頭蓋にどのように伝達していくかを知ることは, 補綴物に与える咬合様式や義歯設計時の支台歯の保護などを検討する上で重要である. この解明法の一つとして咬合音や, 振動に関する研究は今までに数多く行われ, 当教室でも, ヒト乾燥頭蓋に疑似歯根膜および疑似関節円板を付与したモデルを利用して各種の基礎的実験を行ってきた. その結果, 日常咀嚼に用いられる比較的弱い咬合力は, 顔面に付随する皮膚, 筋等の軟組織や骨縫合部で分散, 緩衝され, 比較的強い力は骨自身で緩衝されていることが解ってきた. また, 骨の振動, 歯の振動はヒト, イヌ, ニワトリ等にかかわらず, 類似...

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Published in神奈川歯学 Vol. 25; no. 4; pp. 489 - 494
Main Authors 熊澤裕子, 神永美穂子, 木村茂之, 古賀伸一, 豊田實, 松尾悦郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.03.1991
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ISSN0454-8302

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Summary:「緒言」 顎機能時に咬合力が顔面頭蓋にどのように伝達していくかを知ることは, 補綴物に与える咬合様式や義歯設計時の支台歯の保護などを検討する上で重要である. この解明法の一つとして咬合音や, 振動に関する研究は今までに数多く行われ, 当教室でも, ヒト乾燥頭蓋に疑似歯根膜および疑似関節円板を付与したモデルを利用して各種の基礎的実験を行ってきた. その結果, 日常咀嚼に用いられる比較的弱い咬合力は, 顔面に付随する皮膚, 筋等の軟組織や骨縫合部で分散, 緩衝され, 比較的強い力は骨自身で緩衝されていることが解ってきた. また, 骨の振動, 歯の振動はヒト, イヌ, ニワトリ等にかかわらず, 類似した基本振動特性を持ち, その性質は海綿骨, 緻密骨などの組成の違いが影響を及ぼし, 更に, その修飾因子として水分や軟組織が関与することが考えられてきた. そこで今回, ヒト乾燥頭蓋のモデルを用いて咀嚼時のタッピングを歯と歯の衝撃振動として捕えた場合の頭蓋における減衰状態ならびに被検体の相反性について多少の知見を得たので報告する.
ISSN:0454-8302