広範な抗血小板抗体を有する患者の骨髄移植における血小板クロスマッチの役割

広範な抗血小板抗体を有する患者に対し骨髄移植を施行する際には, 通常の方法では十分に移植後の血小板減少期を乗り切ることができない. このような4症例に対し血小板クロスマッチにより適合ドナーを選択して血小板輸血を行い, 安全に骨髄移植を施行し得たので報告する. 症例は再生不良性貧血3例, 急性骨髄性白血病1例であり, HLA一致同胞よりの同種骨髄移植施行例で, 移植前頻回の全血・血小板輸血により広範な抗血小板抗体を有していた. HLA-AB適合およびクロスマッチ(AHG-LCT法)陰性ドナーを選択し血小板輸血を行なった. いずれの症例においてもクロスマッチの陰性度と輸注効果とはよく相関し, HL...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 93 - 94
Main Authors 松下正, 唐渡雅行, 赤塚美樹, 竹山邦彦, 宮村耕一, 杉原卓朗, 南三郎, 小寺良尚, 則竹真弓, 加藤道, 倉知透, 森島泰雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1988
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Summary:広範な抗血小板抗体を有する患者に対し骨髄移植を施行する際には, 通常の方法では十分に移植後の血小板減少期を乗り切ることができない. このような4症例に対し血小板クロスマッチにより適合ドナーを選択して血小板輸血を行い, 安全に骨髄移植を施行し得たので報告する. 症例は再生不良性貧血3例, 急性骨髄性白血病1例であり, HLA一致同胞よりの同種骨髄移植施行例で, 移植前頻回の全血・血小板輸血により広範な抗血小板抗体を有していた. HLA-AB適合およびクロスマッチ(AHG-LCT法)陰性ドナーを選択し血小板輸血を行なった. いずれの症例においてもクロスマッチの陰性度と輸注効果とはよく相関し, HLA適合, クロスマッチ陰性ドナーよりの輸血は骨髄移植ドナーの輸血と同等に有効であった. 経過中重篤な出血症状は認めず, 本法によるスクリーニングは広範な抗血小板抗体を有する患者の骨髄移植に際し有用であった.
ISSN:0546-1448