特発性内頸動脈海綿静脈洞瘻の治療法

いわゆる特発性頸動脈・海綿静脈洞瘻(spontaneous carotid-cavernous fistula以下特発性CCFと略す)の大部分は内頸動脈本幹が直接海綿静脈洞内に破裂して生じるものはめずらしい. むしろ内・外頸動脈あるいは稀に椎骨動脈の硬膜枝と静脈洞が交通することによっておこる, いわゆる硬膜動静脈瘻の一型とみなされる疾患であると考えられる6)7)8). 外傷性海綿静脈洞瘻に対する治療法はこれまで種々の方法が報告されている1)2)4)8)11). しかし特発性海綿静脈洞瘻に対する治療方針や手術術式にはいまだ決定的なものがない. 特発性CCFの中で流入動脈枝が外頸動脈枝にのみに限ら...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 19; no. 2; pp. 141 - 147
Main Authors 米田俊一, 松田昌之, 後藤弘, 半田肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 01.02.1979
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ISSN0470-8105

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Summary:いわゆる特発性頸動脈・海綿静脈洞瘻(spontaneous carotid-cavernous fistula以下特発性CCFと略す)の大部分は内頸動脈本幹が直接海綿静脈洞内に破裂して生じるものはめずらしい. むしろ内・外頸動脈あるいは稀に椎骨動脈の硬膜枝と静脈洞が交通することによっておこる, いわゆる硬膜動静脈瘻の一型とみなされる疾患であると考えられる6)7)8). 外傷性海綿静脈洞瘻に対する治療法はこれまで種々の方法が報告されている1)2)4)8)11). しかし特発性海綿静脈洞瘻に対する治療方針や手術術式にはいまだ決定的なものがない. 特発性CCFの中で流入動脈枝が外頸動脈枝にのみに限られている症例では, 外頸動脈のembolizationおよび外頸動脈結紮術でほとんど治癒せしめることが可能である. しかしながら海綿静脈洞部の内頸動脈枝を流入動脈となっている症例に対しては, 積極的治療は困難である.
ISSN:0470-8105