肝門部領域胆管癌術後の膿瘍肝静脈瘻に対するIVR下ステントグラフト留置・コイル塞栓および人工物感染に対する外科的抜去術が有効であった1例
要旨:症例は70歳代男性. 左肝管を主座とするBismuth Type IIIb型の肝門部領域胆管癌の術前診断で, 肝左葉尾状葉切除+胆道再建術を施行した. 術後胆管空腸吻合部の縫合不全により生じた膿瘍と中肝静脈が瘻孔を形成し, 持続菌血症を来した. 敗血症性ショックのため外科的対処は困難と判断し, 術後21日目に中肝静脈中枢側に経内頸静脈的ステントグラフト留置, 膿瘍肝静脈瘻を呈していた中肝静脈末梢側に経皮経肝的コイル塞栓を施行し, 膿瘍肝静脈瘻を閉鎖した. その後, 膿瘍肝静脈瘻は消失し自宅退院に至った. 退院後, ステントグラフトおよびコイルへの感染が原因と考えられる菌血症を来したため,...
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Published in | 胆道 Vol. 38; no. 5; pp. 736 - 742 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胆道学会
31.12.2024
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-0077 |
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Summary: | 要旨:症例は70歳代男性. 左肝管を主座とするBismuth Type IIIb型の肝門部領域胆管癌の術前診断で, 肝左葉尾状葉切除+胆道再建術を施行した. 術後胆管空腸吻合部の縫合不全により生じた膿瘍と中肝静脈が瘻孔を形成し, 持続菌血症を来した. 敗血症性ショックのため外科的対処は困難と判断し, 術後21日目に中肝静脈中枢側に経内頸静脈的ステントグラフト留置, 膿瘍肝静脈瘻を呈していた中肝静脈末梢側に経皮経肝的コイル塞栓を施行し, 膿瘍肝静脈瘻を閉鎖した. その後, 膿瘍肝静脈瘻は消失し自宅退院に至った. 退院後, ステントグラフトおよびコイルへの感染が原因と考えられる菌血症を来したため, 再入院の上, 術後112日目に開腹下に中肝静脈を切開しステントグラフトとコイルを抜去し, 初回手術後130日目に自宅退院に至った. 肝門部領域胆管癌術後の難治性敗血症に対する血管内治療と外科的治療介入が有効であった. |
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ISSN: | 0914-0077 |