神経ブロック 経椎間板法内臓神経ブロック

X線透視下経椎間板法内臓神経ブロック:X線斜入角度が頭尾側方向にだけ可変の透視装置を用いて, 針先が椎間板を貫通し内臓神経の存在する横隔膜脚と大動脈後縁と椎体前縁に囲まれたコンパートメントに到達させて行う手技について述べる. 安全確実に行える:経椎間板法の利点は, 傍脊椎法に比べて刺入経路が正中に近いため臓器損傷を回避できる. 椎間板内ではべベルの向きを変えることで針の進む方向を容易に修正可能でしかも固定性が良い. 針先を正中に位置させることができ1回の刺入で両側に薬液を注入可能である. X線の方向と体位の工夫が必要:X線透視画面上の二次元情報からでは, ブロック針の方向と深さを同時に立体的に...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 10; no. 3; p. 304
Main Authors 佐藤 朗, 大方真人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 25.06.2003
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Summary:X線透視下経椎間板法内臓神経ブロック:X線斜入角度が頭尾側方向にだけ可変の透視装置を用いて, 針先が椎間板を貫通し内臓神経の存在する横隔膜脚と大動脈後縁と椎体前縁に囲まれたコンパートメントに到達させて行う手技について述べる. 安全確実に行える:経椎間板法の利点は, 傍脊椎法に比べて刺入経路が正中に近いため臓器損傷を回避できる. 椎間板内ではべベルの向きを変えることで針の進む方向を容易に修正可能でしかも固定性が良い. 針先を正中に位置させることができ1回の刺入で両側に薬液を注入可能である. X線の方向と体位の工夫が必要:X線透視画面上の二次元情報からでは, ブロック針の方向と深さを同時に立体的にイメージすることは容易でない. それでは椎間板から針先が抜け出る位置の予測は経験による勘に頼らざるを得ないこともある. 針の刺入過程でX線の方向や体位を変えながら針の方向と深さを頻回に修正することは, 患者と術者のストレス, ひいては合併症発生につながりかねない. そこで, X線透視下に安全に短時間で遂行するためには, X線の方向と体位の工夫が必要である. 針の目標経路にX線の進む方向を一致させる:ポイントは針の目標経路にX線の進む方向(X線軸)を一致させることである. そのX線軸から針がずれないように進めれば方向に間違いはない. その延長線上に目標部位がある. 目標経路は上関節突起外側縁と目標部位である椎間板前方の正中を結ぶ直線である. 体位とX線の角度を調節して目標経路にX線軸を一致させる. そのX線軸に沿ってある程度の深さまで針を進めることで, あとは深さだけを確認しながら椎間板を貫通させると針先は自ずと目標部位に到達する. 椎間関節裂隙を椎体巾の3分の1に:それには患者の体位は腹仰臥から右半身を約20度挙上した斜位とする. 透視下でL1-2椎間間節裂隙が椎体の右縁から椎体巾の約3分の1に位置するように患者の斜位の角度を微調整する. 同時にL1-2椎間板とX線軸を平行にするために椎体終板が1本の線に見えるようX線管球の頭尾側の斜入角度も調節する. この操作により透視画面上では上関節突起外側縁と針先の目標部位は重なっている. 皮膚刺入点は透視画面上の上関節突起の外側縁で椎間板上下縁の中央とする. この刺入点を通過するX線軸に目標部位である椎間板前方の正中がある. 針は常に点に描写される:透視下にその刺入点から刺入する. 針を進める方向も透視画面上の上関節突起の外側縁で椎間板上下縁の中央である. つまり針を進める方向とX線軸と一致させるため, 針が常に点として描写される様に進め(実際には注入口が描写される), 椎間板線維輪に達したら椎間板内に約2cm刺入する. この状態で針は椎間板前方の正中に向かっているので, あとは深さの確認だけでよい. 患者の体位を側臥位とする. 側面透視像で深さを確認しながら抵抗消失法で椎間板を貫通させ, 抵抗が消失したところが目的とするコンパートメントである. ポータブルX線装置で前後像を撮影し, 針先が正中にあることを確認する. 薬液の注入:非イオン性水溶性造影剤13mlと10%リドカイン2mlの混合液計15mlを注入してテストブロックを行う. 側面像では尾側に鋭なる楔状陰影, 正面像では脊柱と重なって頭尾側に拡がる. 疼痛の軽減が得られ, 腹部から下肢に筋力知覚の低下がないことを確認する. 20分後異常がないことを確認し, 99.5%エタノール15mlを緩徐に注入する.
ISSN:1340-4903