ウイルスマーカー陰性のALT高値者の解析

血液センターでは輸血後肝炎の防止の補助的検査項目として献血者スクリーニングにALT検査を実施している. 輸血後肝炎の防止に寄与している一方で, 貴重な献血血液の不必要な廃棄を助長しているのではないかとの意見もある. そこで, ALT高値者の実態調査を試みた. (方法) 当センターでウイルスマーカー陰性でALT高値となった献血者に対してその旨を通知し, 医療機関から返信を受けALT高値となった献血者の診断結果を調べた. (結果) 平成8年1月から9月の間に当センターでALT高値となり通知した献血者は1877名であった. このうち, 医療機関からの返信は, 565件あり約30%の返信率であった....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 312
Main Authors 森鉄男, 堤康英, 佐藤博行, 前田義章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1997
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:血液センターでは輸血後肝炎の防止の補助的検査項目として献血者スクリーニングにALT検査を実施している. 輸血後肝炎の防止に寄与している一方で, 貴重な献血血液の不必要な廃棄を助長しているのではないかとの意見もある. そこで, ALT高値者の実態調査を試みた. (方法) 当センターでウイルスマーカー陰性でALT高値となった献血者に対してその旨を通知し, 医療機関から返信を受けALT高値となった献血者の診断結果を調べた. (結果) 平成8年1月から9月の間に当センターでALT高値となり通知した献血者は1877名であった. このうち, 医療機関からの返信は, 565件あり約30%の返信率であった. その内訳は, 脂肪肝が328件(58%), 肝障害が106件(19%), 異常なしが69件(12%), アルコール性肝障害が62件(11%)であった. (考察) 上記の結果よりALT高値の献血者の60%近くは脂肪肝と診断された. ALT高値となり血液を廃棄した献血者について詳細な検討を行い, ALT値のウイルス性肝炎のSurrogate Markerとしての役割を満足させる形で有効利用可能な血液の確保を考える必要があるかもしれない.
ISSN:0546-1448