貯血式自己血採血の患者の安全性について
【目的】自己血輸血は, 最も望ましい輸血療法であるため, 当院では輸血部が1994年より自己血外来を開き, 採血を担当し推進している. 輸血同意書の普及に伴い, 最も安全な輸血である自己血輸血を希望する患者はますます増加すると思われる. その際, 採血時の患者の安全性は最も大事なことである. 今回, 貯血式自己血輸血を希望する患者の採血時の血圧, 脈拍数を経時的に測定しその変化を検討する. 【方法】 対象は, 1997年4月から1998年10月までに貯血式自己血輸血を希望し, 自己血輸血の同意書を得た患者で, 1回に200mlから400mlを採血した患者とした. 採血前の条件は, Hb>...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 225 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1999
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】自己血輸血は, 最も望ましい輸血療法であるため, 当院では輸血部が1994年より自己血外来を開き, 採血を担当し推進している. 輸血同意書の普及に伴い, 最も安全な輸血である自己血輸血を希望する患者はますます増加すると思われる. その際, 採血時の患者の安全性は最も大事なことである. 今回, 貯血式自己血輸血を希望する患者の採血時の血圧, 脈拍数を経時的に測定しその変化を検討する. 【方法】 対象は, 1997年4月から1998年10月までに貯血式自己血輸血を希望し, 自己血輸血の同意書を得た患者で, 1回に200mlから400mlを採血した患者とした. 採血前の条件は, Hb>11g/dl, 体温37℃以下とした. 採血前5分前より自動血圧計により血圧, 脈拍数を2分間隔で測定しその変化について検討する. 【結果】 病院全体の自己血輸血は, 97年度(97年4月から98年3月)1041単位, 98年10月までが630単位であった. そのうち, 自己血外来での採血単位数は, 97年度620単位, 98年340単位であった. 少数の低血圧の患者が軽度の血圧低下で安静時間の延長および生理食塩水の点滴などが必要になったが, ほとんど問題なく採血出来ている. 【考察】 貯血式自己血輸血を希望する患者のなかには, 心血管系に異常を有している患者が数多く存在する. このため, 健常人の献血とは全く違うという認識で採血時の血圧, 脈の変動に注意することは重要である. 全自動血圧計を利用し血圧, 脈拍を経時的に測定することは, 患者の安全を確保するという点と高血圧などの患者の安心感も獲得する点で有用であると思われる. |
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ISSN: | 0546-1448 |