HTLV-Iプロウイルスの迅速定量

目的:HIV感染と同様にHTLV-I感染症においてもプロウイルス量が病態と深く関わっていることが明らかとなりつつある. 従来の方法では定量に手間と時間がかかりすぎるという欠点があった. 今回, 我々は新たに開発されたAmpliSensorを用いてHTLV-Iプロウイルス量の定量を行なった. 方法及び結果:HTLV-Iキャリア, HTLV-Iぶどう膜炎, HAM患者の末梢血より単核球を分離し染色体DNAを抽出した. このDNAを希釈し100ng/mlの濃度に調整し2mlを反応に用いた. プライマーはgag領域を増幅するように設定し, 従来の方法との比較を行なった. まずAsymmetric PC...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 1; p. 94
Main Authors 西原久美子, 吉木景子, 中満三容子, 福吉葉子, 山口一成, 松岡雅雄, 江藤健一郎, 田宮貞宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:目的:HIV感染と同様にHTLV-I感染症においてもプロウイルス量が病態と深く関わっていることが明らかとなりつつある. 従来の方法では定量に手間と時間がかかりすぎるという欠点があった. 今回, 我々は新たに開発されたAmpliSensorを用いてHTLV-Iプロウイルス量の定量を行なった. 方法及び結果:HTLV-Iキャリア, HTLV-Iぶどう膜炎, HAM患者の末梢血より単核球を分離し染色体DNAを抽出した. このDNAを希釈し100ng/mlの濃度に調整し2mlを反応に用いた. プライマーはgag領域を増幅するように設定し, 従来の方法との比較を行なった. まずAsymmetric PCRで22回の増幅を行ない次にAmpliSensorを加え14回の増幅を行なった. 32, 34, 36回目に測定を行ない測定結果はASAP(AmpliSensor Analysis Program)で解析した. RIを用いた定量とAmpliSensorによる定量はよく相関した. AmpliSensorの検出感度は約10コピーであった. またHTLV-I抗体価とHTLV-Iプロウイルス量とを比較した. 考察:AmpliSensorを用いたHTLV-Iのプロウイルスの定量は従来の定量法ともよく相関し, その迅速性, アイソトープを必要としない点などより非常に有用である. ウイルス量と抗体価は相関していた. この方法では一度に多数の検体を処理することが可能であり, 今後HTLV-Iプロウイルス量とバイオマーカー, 病態との関連を検討していく予定である.
ISSN:0546-1448