ホームケア用フッ化物製剤のう蝕予防性について -起床時唾液中フッ素濃度からの検討

「はじめに」 フッ化物(以下"F"とする)がう蝕予防に優れた効果をもたらすものとして利用されはじめてから半世紀以上が経過した. 現在に至るまでに, 他の先進諸外国では水道水へのF添加などの全身応用から, F配合歯磨剤などの局所応用まで, 様々な形で利用され続け, 劇的なう蝕減少効果をあげている. それに対してわが国では, 緩やかなう蝕の減少傾向はあるものの, 国際比較に広く用いられている12歳児のDMFTは3.64本と, 他の先進国に比べて依然として高い有病状況にある. また, WHOが西暦2000年までの歯科保健目標として掲げている『12歳児のDMFTを3本以下にする』に...

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Published in神奈川歯学 Vol. 34; no. 1; pp. 43 - 60
Main Authors 下井戸さよ, 飯塚喜一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 神奈川歯科大学学会 30.03.1999
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ISSN0454-8302

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Summary:「はじめに」 フッ化物(以下"F"とする)がう蝕予防に優れた効果をもたらすものとして利用されはじめてから半世紀以上が経過した. 現在に至るまでに, 他の先進諸外国では水道水へのF添加などの全身応用から, F配合歯磨剤などの局所応用まで, 様々な形で利用され続け, 劇的なう蝕減少効果をあげている. それに対してわが国では, 緩やかなう蝕の減少傾向はあるものの, 国際比較に広く用いられている12歳児のDMFTは3.64本と, 他の先進国に比べて依然として高い有病状況にある. また, WHOが西暦2000年までの歯科保健目標として掲げている『12歳児のDMFTを3本以下にする』についても, このままでは目標の達成は難しいのではないかと予想される. さらに近年では, 日本人の平均寿命の延びにより急速に高齢化社会に突入しており, 根面う蝕などの高齢者独特のう蝕に対して, その予防対策を講じる必要が生じてきている.
ISSN:0454-8302