腕相撲で生じた肩甲下筋腱損傷の1例 - その発生メカニズムは?

〔要旨〕腕相撲による外傷としては比較的稀とされる肩甲下筋腱損傷を経験した. 症例は51歳男性. 地元の腕相撲大会に参加し通常より低い台で肩外転位で競技を行い受傷した. MRIとエコーで肩甲下筋腱損傷を認め, 関節鏡下にsuture anchorを用いて関節包と肩甲下筋腱を一塊として小結節内側縁に縫着した. 術後経過は良好であった. 本症例の発生メカニズムは腕相撲で腕を倒されると肩甲下筋腱は遠心性収縮を生じるため損傷リスクが高くなるという点, 通常より低い台で体幹前屈と肩外転を強いられたために肩外旋・伸展によって負荷がかかりやすくなった点, 年齢的に肩甲下筋腱に変性が潜んでいた可能性がある点とい...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 24; no. 3; pp. 463 - 468
Main Authors 夏恒治, 菊川和彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2016
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕腕相撲による外傷としては比較的稀とされる肩甲下筋腱損傷を経験した. 症例は51歳男性. 地元の腕相撲大会に参加し通常より低い台で肩外転位で競技を行い受傷した. MRIとエコーで肩甲下筋腱損傷を認め, 関節鏡下にsuture anchorを用いて関節包と肩甲下筋腱を一塊として小結節内側縁に縫着した. 術後経過は良好であった. 本症例の発生メカニズムは腕相撲で腕を倒されると肩甲下筋腱は遠心性収縮を生じるため損傷リスクが高くなるという点, 通常より低い台で体幹前屈と肩外転を強いられたために肩外旋・伸展によって負荷がかかりやすくなった点, 年齢的に肩甲下筋腱に変性が潜んでいた可能性がある点という3つの要素が考えられた. 「はじめに」 腕相撲による外傷としては比較的稀とされる肩甲下筋腱損傷を経験したので発生メカニズムについて考察を加えながら報告する.
ISSN:1346-4159